クラブ開発のテクノロジーは発達しているというのに、強いプロのパターに注目してみると、いつの時代も同じ形!! なんで人気なのか? もっておいたほうがいいのか? ギアオタク店長が考えてみた。

クラブフィッターの小倉です。今回はパターについてです。みなさんが、パターと聞いて真っ先に思い出すのはどんな形のヘッドでしょうか。私は「ブレードタイプ」です。いわゆる”ピン型”パターですね。トゥ&ヒールバランスパターなどとも呼ばれ、誕生から50年以上も経過しているにも関わらず、いまなお多くのゴルファーに愛されています。ツアープロにも愛用者が多く、タイガー・ウッズ、松山英樹、コリン・モリカワ、渋野日向子などパターの名手と呼ばれるプロには、「ブレードタイプ」を愛用している方が多い印象があります。

画像: このタイプを「ピン型」と呼ぶ人が多いのはピンの「アンサー」がこの形状の本家であり、元祖だからだ

このタイプを「ピン型」と呼ぶ人が多いのはピンの「アンサー」がこの形状の本家であり、元祖だからだ

パターのヘッドはさまざまなタイプがあり、最近はネオマレットのような芯を外してもボールの転がりが変わりにくいモデルも存在しています。プロの世界では、結果がすべてですからそういったモデル一辺倒になってもおかしくないのですが、「ブレードタイプ」はずっと一定の人気を保っています。そんなブレードタイプのよさを個人的に分析してみました。

「ブレードタイプ」のよさをシンプルに表現すると「平均点が高い」といったところでしょうか。パターに重要視されるポイントはおもに3つあります。「距離感や打感などのフィーリング」、「狙ったところに打ち出すのに重要な構えやすさ」、そして転がりのムラを減らす「ミスへの強さ」です。パッティングにおいて、距離感はもっとも重要なポイントといっても過言ではない部分。もともと距離感が出しやすいパターは「L字型」と言われていました。理由は、アイアンと同じようにトウ側が重くなっているから。トウ側が重いと、テークバックでは、ヘッドは開く方向に、ダウンスウィングからインパクト、フォローにかけてヘッドは閉じる方向に動く、慣性の力が働きます。この慣性の力を利用することで安定したストロークがしやすく、繊細なタッチが出しやすくなるのです。「ブレードタイプ」は、モデルによって多少差はあり、「L字型」ほどではありませんが、同じようにトウ側が重くなっていて、繊細なタッチが出しやすくなっているのです。

画像: タイガー・ウッズをはじめ、松山英樹、ブルックス・ケプカなど強いプロはこの形状を好む

タイガー・ウッズをはじめ、松山英樹、ブルックス・ケプカなど強いプロはこの形状を好む

構えやすさに関しては、ヘッド形状はもちろんですが、「ブレードタイプ」の多くに採用されているクランクネックの効果があります。適度な角を持つヘッドに加え、構えた時にネック部分にフェースと垂直に交わる横のラインがフェースの向きを明確にしてくれるのです。 

ミスへの強さに関してですが、単純に芯を外した時のミスへの強さは、ネオマレットの方が効果は高いです。その反面、重心を深く設計したネオマレットは、繊細なタッチが出しにくくなります。操作性とミスへの強さをほどよく併せ持ち、構えやすい。だから「ブレードタイプ」は半世紀以上も多くのゴルファーに愛されているのです。

基本的にパッティングは好きなモデルを使えばいいとは思います。「ブレードタイプ」を使うプロは構えやすさと操作性のよさによって、もっとも結果が出しやすいから使用しているのでしょう。

画像: クランクネックに加えて、ネック付け根部分の溝、単なるデザインではなく、ターゲットに対してスクェアに構えられる工夫が多く施されている

クランクネックに加えて、ネック付け根部分の溝、単なるデザインではなく、ターゲットに対してスクェアに構えられる工夫が多く施されている

もしみなさんが、もっとパターが上手くなりたい!技術を身につけたい!と考えるなら「ブレードタイプ」は1本持っておいて損はないでしょう。パッティングは、グリーンの読みとタッチ、そして打出し方向すべてが一致しないとカップインの確率は上がりません。「ブレードタイプ」を使っていれば、プレーではそのバランスのよさで結果もある程度追求しながら、細かなタッチの練習になります。また外れた場合にその理由が、向いていた方向がズレていたのか、それともタッチが合わなかったのかが、分析しやすいです。もちろん練習は必要ですが、結果と技術の向上両方を両立させてくれる「ブレードタイプ」は、使えば使うほど経験値を高めてくれるレベル上げの武器になってくれるはずです。

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