腰痛予防には胸椎の柔軟性が大切
プロだけでなくアマチュアゴルファーにとってもゴルフが楽しめなくなってしまう原因となる腰痛。前傾して同じ方向にスウィングするゴルフにおいては、腰痛に悩んでいる人も多いはず。そこで昨年シニア賞金王を獲得した篠崎紀夫をサポートした小楠和寿トレーナーに普段から簡単にできる予防を教えてもらった。
「腰痛の予防には股関節周りの柔軟性、胸椎の柔軟性が大切になります。とくにゴルフスウィングの場合この2か所がスムーズに動かない状態で負荷をかけると、どうしても負担がかかる箇所ができてしまい腰痛の原因になってしまいます」(小楠和寿トレーナー、以下同)
前編では普段の姿勢、股関節周りの柔軟性を高めるストレッチを教えてもたった。後編では「体をねじる動作が入るゴルフスウィングでは胸椎の柔軟性が大切」と小楠トレーナー。
「背骨(脊椎)は頸椎、胸椎、腰椎からなりますが、目線をあまり動かさないゴルフスウィングでは左右にねじる方向に動くのは胸椎の部分なんです。腰を回すという表現が使われますが腰椎は構造上ねじる方向に動く範囲はすごく狭いんです。ですから腰椎の柔軟性を高めることで腰への負担を軽減することができます」
「自宅では枕やクッションを胸の後ろに置いて頭を両手で支えながら反るようにゆっくりと呼吸をしながら胸を伸ばします。このときにひざは立ててつま先を床から浮かすことで股関節が正しい姿勢に入ります。首や腰に痛みがある場合は高さの低い枕で始め、徐々にストレッチポールなどの高さのあるものにしていきましょう」
デスクワークで猫背になりがちな人は、気持ちのいいストレッチだが無理のない範囲で始めてみよう。続いてバックスウィングやフォローで重要になるねじる動きのストレッチを教えてもらおう。まずは前編でやった骨盤を起こし股関節で上半身の体重を支える正しい姿勢を取ろう。
「胸の前に両手を伸ばして定規やボールの箱など肩幅よりも狭いものを挟んで持ちます。顔は正面を向いたまま股関節で上半身を支える正しい姿勢からゆっくりと腕を軽く伸ばしてスタートします。腰をねじるのではなく、胸を左右に向けるように意識しましょう」
「このときに、顔だけでなく胸も正面に向けたまま腕だけで動かしてしまうのはNGです。動かせる範囲で構わないので胸と一緒に背中側にある胸椎が左右にねじられるイメージを持ちます」
実際にやってみると胸の向きはとても90度までは回せないことに気づくはず。胸椎の可動域が狭くなればそれを補おうとして手打ちになるだろうし、スウィングを不安定にさせる要素が増えてしまう。
体は構造上、固定性を求める場所(腰椎)と柔軟性を求める場所(胸椎)が交互に組み合わされてていることから、可動範囲の狭い部分に無理な負荷がかからないように可動範囲の広い部分の柔軟性を保つことが大切だということ。前編で学んだ股関節の柔軟性と正しい姿勢を生かすにも胸椎の柔軟性が大事になってくるというわけだ。
「腰痛を予防するには、構造上の破綻を起こさないようにするために股関節と胸椎の可動域を確保することでことが大切です」
普段からの姿勢や椅子に座ってできる簡単なストレッチを実践することで、飛距離を維持したりゴルフを長くプレーできることにもつながると小楠トレーナー。早速試してみてはいかがでしょうか。
取材協力/J's Sports Body