小島はプロテスト合格後にツアー参戦したあとティーチングプロ資格、トラックマンマスター、TPIレベル3、タイトリストで10年のフィッテイング経験をもつなどスウィング面と計測器、フィッテイングまでの幅広い資格を取得した異色の三刀流プロ。ここではドライバーのフィッティングについてフィッター目線で選ぶコツを教えてもらった。
トラックマンの計測データを使ってドライバーのシャフトフィッティングする際に、小島慶太プロが見る数値は計測される31項目を網羅しながらも注目するのはボール初速、打ち出し角、スピン量、高さ、落下角度など10項目だという。
「『ボール初速』、『打ち出し角』、『スピン量』の3つの項目を飛びの三大要素といいますが、まずは、どのクラブやシャフトが一番ボール初速が速かったのかを見ます。ボール初速が速いということは振りやすいということを表しています。次に打ち出し角が適正かどうか? これはボール初速によって変わってきます。ボール初速が60m/s以下の場合は打出し角15度は欲しいところ。初速が速いプレーヤーの場合はあまり問いません。最後にスピン量ですが、ボール初速が68m/sよりも速いプレーヤーはスピン量をどう減らすかということがポイントになります。目安は2000rpm前後になりますが、コントロール性を重視する場合は2500から3000rpm程度は許容範囲です」(小島慶太、以下同)
つまり、飛びの三大要素のうち、小島がまず注目するのはボール初速だという。ヘッドのもつ特性とシャフトの調子や重量やフレックスによって振りやすさが変わるため、そのプレーヤーにとってボール初速が最大になるクラブが振りやすくタイミングも合っているということになる。
次に打ち出し角。これはボール初速によって変わり、初速が60m/s程度のスピードになると十分な打ち出し角を確保しなければキャリーが出せずに飛距離に結びつかなくなる。しかし、ボール初速が速いプレーヤーの場合は、打ち出し角はさほど問わないが、スピン量との兼ね合いになってくる。
ボール初速、打ち出し角の条件をクリアしたら、最後に目安とされる2000rpm前後のスピン量になるモデルを選ぶことになってくる。ただし、ドローやフェードの持ち球を生かしたり、打ち分けたりするプレースタイルの場合2500から3000rpm程度のスピン量は飛距離においてはデメリットになるもののフェアウェイキープにはメリットになる。ボール初速が遅くてスピン量が多い場合は、インパクト条件の問題になるからフィッティングでどこまで改善できるのかというの難しい問題になってくるという。
「続いて落下角度は、30度から42度程度が適正になりますが、普段プレーするコースがフラットで風が強いコースであったり林間コース、アップダウンのあるコースなどによって求められる弾道も変わってきます。30から36度であればキャリーよりもランも含めた総飛距離で、風の影響を受けにくくなります。ボール初速が速いプレーヤーが高めの弾道でキャリーで攻めるのであれば37から42度程度が適正になります」
球の散らばりはサイド(キャリー)とサイドトータル(ランも含めた左右の曲がり幅)を見て、15ヤード程度であればフェアウェイをキープするにはじゅうぶんな数値であるという。
フィッティングを受けているとスウィングの数値、例えばクラブ軌道や入射角なども気になるところだがスウィングを気にして数値を作るのはNGだと小島は続ける。
「クラブの軌道やスウィングに関してはフィッターは見ています。ですが途中でそれを聞いてしまってスウィングを直し始めてしまうとフィッティングから脱線してしましまいます。肝心なのは数値を作ることがキーではなくゴルフがよくなることがキーとなるので、現在の自分のスウィングで最良の結果が期待できるセッティングを探すことがフィッティングの基本的な考え方になります」
最後にトラックマンでのフィッティングの場合は、風がないフラットな条件でのキャリーとランの数値になるが、インドアかアウトドアか、使用ボールに合わせたトラックマンの設定など環境や条件によってもボールデータの数値は変わってくる。普段自分が使用するボールを持っていき、それに合わせた設定にしてもらうなど、条件を考慮するとより高い精度でフィッティングできることにつながるだろう。
取材協力/4plus フィッティングスタジオ&ゴルフサロン