先日発表となったコブラのニューシリーズ「KING LTDx」。ドライバーのラインナップは、スタンダードな性能の「KING LTDx」、ドローバイアスモデルの「KING LTDx MAX」、ロースピンモデルの「KING LTDx LS」の3モデルとなっている。
まず3モデルに共通しているのが、スチール、チタン、アルミの複数素材を用いたウェートをヘッド内部のフェース下部寄りの位置に配置した「パワーコア・テクノロジー」によって低スピン・高初速性能を両立。加えて、ソールにもモデルごとに異なる位置にウェートが配置されており、それぞれ性格付けがなされている。
そしてこれらのウェートを配置するための余剰重量はクラウンとソールにカーボン素材を採用した「マルチマテリアル・シャーシ」によって確保している。チタン製のボディ自体も前作より8.3グラム軽量化、カーボンの量も20%増えているという。
フェースがCNCミルド加工されている点も前作と同様。だが今作では加えてAIを駆使した設計を採用。フェースを15のポイントに分割し厚さを変えることで、広範囲で反発性能を高めているという。
慣性モーメント値5000g・cm2超えの「KING LTDx」
まず見ていくのは「KING LTDx」。前述の通り3モデルのなかではスタンダードな性能を有しており、ソールのウェート位置はヘッド最後方の1か所のみで、慣性モーメント値は5000g・cm2とかなり高めになっている。では見た目の印象からプロたちに聞いてみよう。
「見た目の印象はかなり精悍ですね。少しシャローな形状なのですが、クラウンはもちろんフレームの部分もマットされていてかつ黒色なのもあり、かなり精悍な見た目です」(中村)
堀口も「スッキリしていて構えやすいですね」と評価。では両者の試打結果の平均値と、インプレッションを見てみよう。
【堀口のLTDxの試打結果】
HS44m/s キャリー238Y トータル262Y 打ち出し角13.6度 ボール初速63.5m/s スピン量2215rpm
【中村のLTDxの試打結果】
HS45m/s キャリー255Y トータル277Y 打ち出し角12.5度 ボール初速66.5m/s スピン量2274rpm
「まずいちばんに感じるのは打感の柔らかさ。打っていてすごく心地が良く、打ちやすさも感じます。弾道はほぼストレートで、ミスヒットにもかなり強めな印象ですね」(堀口)
中村も堀口と同様に「打感の柔らかさと寛容性の高さがすごい」という。「キャリーも出ますし、スピン量も非常に安定していました。やさしさと飛距離性能が両立されていますね」と評価した。
ドローバイアスに振り切った「KING LTDx MAX」
続いて打ったのは[「KING LTDx MAX」。ドローバイアスを謳ったモデルで、ソールのウェート位置は最後方に加えて、ヒール側にも配置されている。
見た目については「LTDxに比べて投影面積が少し大きめで、つかまりが良さそう」と堀口。中村も「LTDxよりシャローに感じますね」と、モデルごとの違いを感じたようだ。では、両者の試打結果の平均値と、インプレッションを見てみよう。
【堀口のLTDx MAXの試打結果】
HS45m/s キャリー243Y トータル265Y 打ち出し角11.4度 ボール初速65.1m/s スピン量2504rpm
【中村のLTDx MAXの試打結果】
HS45m/s キャリー249Y トータル266Y 打ち出し角13.5度 ボール初速66.1m/s スピン量3010rpm
「打感のよさは『LTDx』と同様ですが、つかまり度合いはかなり違いますね。同じように打つと左に行き過ぎるというくらい、つかまり性能が高いです。そのためスライサーにありがちなカット軌道で数値を取りましたが、それでも飛距離は落ちませんでしたね」(堀口)
中村はそのつかまり性能に加えて、「寛容性の高さも感じた」という。
「かなり下めにヒットしても右に逃げず、センターからやや右サイドの範囲に残ってくれます。『LTDx』と比べるとスピン量は増加していますが、そのぶんつかまりやすいし球も上がりやすいと言えるでしょう。右に逃げないようにオートマチックに打てるモデルですね。MAXと名の付くドローバイアスモデルは他メーカーでも登場していますが、そのなかでもかなりつかまる部類に入りそうです」(中村)
マックス302ヤードのビッグドライブ!? ロースピンで飛ばせる「KING LTDx LS」
最後に打ったのは「KING LTDx LS」。ツアープレーヤーのニーズに応えたロースピンモデルで、ブライソン・デシャンボー、リッキー・ファウラーといったトップを走る契約プロが選択したのもこのモデル。
ソールのウェート位置もヘッド前方のヒール・トウ側の2か所とかなり前重心設計で「スピン量も少なそうですし、強い球が打てそうです」と堀口。
「見た目についてもほかの2モデルと違い少しディープですね。ウェート位置もフェース寄りでガラッと重心配分が変えられていることで、ワッグルしたときの感触も少し重く感じます」(堀口)
では、両者の試打結果の平均値とインプレッションを見てみよう。
【堀口のLTDx LSの試打結果】
HS46.6m/s キャリー248Y トータル277Y 打ち出し角11.4度 ボール初速65.8m/s スピン量1841rpm
【中村のLTDx LSの試打結果】
HS47.3m/s キャリー271Y トータル298Y 打ち出し角13.4度 ボール初速68.3m/s スピン量1735rpm
「前重心に設計されているぶん、ヘッドに重さを感じるので叩きに行ける感じが出て、実際ヘッドスピードも出ました。かなり強めに前に飛んでくれますし、ほか2モデルよりスピン量も少なくランが出ます。コレ、いいですよ」(堀口)
中村に関しては平均でトータル298ヤード、マックス飛距離302ヤードをマーク。
「文句なしにヘッドスピードが速めの人が使えば、飛距離がいちばん出るモデルと言っていいですね。振っていってもか球が散らばるわけでもなかったです。考えてみれば、あのデシャンボーのボールスピードを考慮して設計されているでしょうから、それは振っても真っすぐ飛びますよね」(中村)
さて、全3モデルを打ち終えた両者。試打を通じて2人が感じたのは「ウェートによる重心配分の違いがしっかりと性能に反映されていること」だという。
「ざっくり言えば、スタンダードで直進性と寛容性がある『KING LTDx』、かなりドローバイアスに振った『KING LTDx MAX』、ロースピンで振っていける『KING LTDx LS』といったところでしょうか。それぞれ飛距離性能とやさしさは高い水準で備えつつ、はっきりとした性格付けがなされているので、ぜひ試打してみてほしいですね」(中村)