2020年11月に発売された、フォーティーンの軟鉄鍛造アイアン「TB-5フォージド」をご存じだろうか。“アベレージ向け軟鉄鍛造アイアン”を謳う本モデルは、発売からじつに1年以上が経過した2022年2月現在でも依然として大人気。需要に供給が追い付かず、フォーティーンの公式オンラインストアでは一部スペックに欠品が続出しているほどだ。
ロフトは7番で30度と、一般的なアスリートアイアンよりはストロングロフト設計。キャビティ部の段差をなくしフェース圧をフローさせたバックフェースの設計を採り入れることで、打感と重心設計を両立しつつ、キャビティバックアイアンながら非常にスッキリとしているのが特徴のモデルとなっている。
実際、「構えたときのシャープな顔はマッスルバックさながらです」と、プロゴルファー・中村修と堀口宜篤は口をそろえる。
「構えたときの見え方は本当にマッスルバック。でも一般的なアスリートモデルのアイアンと比べるとフェース長が長くヘッドサイズも大きめ。また、セミグースネックなのもあってこのシェイプにしては安心感がありますね」(堀口)
中村は加えて「細かい点からもやさしさと、より実戦的な設計がされていると感じます」という。
「バックフェースを見てみると、ソールが厚いのはもちろんですが、トップブレードにも少し厚みを持たせていることで、低重心設計になり過ぎていないんですよね。とくにラフからやティーアップして打つ場合打点が少し上めになりますが、その際にも打感が変わらなかったり飛距離のロスが少ないといったメリットがありますね」
では両者の7番アイアンの試打結果の平均値と、インプレッションを見てみよう。
【堀口のTB-5フォージドの試打結果】
HS38m/s キャリー167Y トータル175Y 打ち出し角19.7度 ボール初速51.9m/s スピン量4921rpm
【中村のTB-5フォージドの試打結果】
HS39m/s キャリー170Y トータル183Y 打ち出し角15度 ボール初速52.4m/s スピン量4645rpm
「打感も見た目と同様、ブレードアイアンっぽい柔らかさがあります。正直、単一素材でこの打感のよさはめちゃくちゃいいですね。加えて、これだけスッキリした顔なのに飛んでくれて、寛容性も感じられます。これだけ見た目もよくてやさしくて飛距離も出るとあれば、人気な理由もうなずけますね」(堀口)
「TB-5フォージド」はストロングロフト設計になってはいるものの飛距離性能に特化しているわけではなく「ヘッドスピードを落とせばキャリーも変わりますし、ドロー・フェードの内訳にも反応してくれます。コントロール性能もしっかりありますね」と堀口。
中村は「スッキリした見た目で、ある程度操作性もありますが、比較的オートマチックに打ちやすいアイアンですね」と評価。堀口と同じく、やさしさもしっかり感じられたという。
「バックフェースを見るとスッキリしているぶん頼りなさもありましたが、実際に打ってみるとちゃんとスウィートエリアの広さ、打感の厚さを感じますね。とくに打点の上下ブレに対して、飛距離ロスや打感の変化が少ないのが良いですね。ちょっとつかまえてくれる方向に動いてくれるので、比較的オートマチックに打ちやすいアイアンと言えるでしょう」(中村)
試打を終えた両者の「TB-5フォージド」に対する評価を簡潔にまとめるなら「見た目のカッコよ、さを損なわずやさしく飛ばせる、実戦向きのアイアン」。もちろん幅広いゴルファーにマッチする1本と言えるが、とくに「打感と見た目にこだわってかつ飛ばしたい方、とくにヘッドスピードが落ちてきたシングルプレーヤーにはベストマッチするアイアンではないでしょうか」(中村)とのことだ。