ドライバーのシャフトをカスタムするゴルファーは多いが、アイアンのフィッティングではシャフトだけでなく各番手のロフトも大きな要素になる。アイアンのシャフトは何を基準に選んだらいいのか? ロフトや番手間の距離はどう揃えたらいいのか? その疑問にタイトリストで10年のフィッター経験を持つプロゴルファーの小島慶太に教えてもらおう。

小島はプロテスト合格後にツアー参戦したあとティーチングプロ資格、トラックマンマスター、TPIレベル3、タイトリストで10年のフィッテイング経験をもつなどスウィング面と計測器、フィッテイングまでの幅広い資格を取得した異色の三刀流プロ。ここではアイアンのフィッティングについてフィッター目線で選び方のコツを教えてもらった。

画像: プロテスト合格後レギュラーツアーに参戦経験もあり、ティーチングプロ、TPIレベル3、トラックマンマスターとタイトリストフィッティングスペシャリストの資格を持つ三刀流プロの小島慶太

プロテスト合格後レギュラーツアーに参戦経験もあり、ティーチングプロ、TPIレベル3、トラックマンマスターとタイトリストフィッティングスペシャリストの資格を持つ三刀流プロの小島慶太

アイアンは飛距離を求めるよりも番手別の距離を打ち分けられることが重要なはず。そこで小島はアイアンで飛距離の階段を作る際の注意点を教えてくれた。

「飛距離の階段を作るうえで重要なのは、トータルの距離ではなくキャリーで階段を作ることです。そして番手間のキャリーの目安は少なくても8ヤード、多くても15ヤードのピッチになります。この幅はプレーヤーの持っているヘッドスピードとインパクト条件によっても変わって来ます。ロフトやインパクト状況からプロゴルファーでも均等にはなりませんが、アマチュアゴルファーの場合はひとつの目安として均等なキャリーの階段を作るのを目的にされるといいと思います」

番手間のピッチが均等にならないケースで多いのは、アーリーリリース気味のスウィングでショートアイアンで球が上がり過ぎてロフト通りに飛ばせないようなケースだという。

スチールシャフトは5年で経年劣化する

ロフトだけでなくスチールではなくカーボンシャフトを選択するケースもあるという。

「カーボンシャフトのほうが球が上がる可能性はあります。ただやさしくなるとか飛ばせるとか一概には言えません。スチールシャフトは鉄でできているので劣化して来ます。4、5年くらいで経年劣化でもともとのパフォーマンスとはかなり変わってくると思います」

画像: スチールシャフトは経年劣化もあり5年以上経過すると本来のパフォーマンスを発揮できていな可能性がある

スチールシャフトは経年劣化もあり5年以上経過すると本来のパフォーマンスを発揮できていな可能性がある

気に入っているヘッドを使い続けるのもゴルフの楽しみのひとつだが、スチールシャフトはその素材により経年劣化は避けられない。5年以上使い続けるモデルであればフィッティングを受け直してみて数値にバラつきが出るなどの不具合が見つかるケースもあるようだ。

ライ角に関しては身長や体形だけでなく構え方によっても千差万別なため、フィッターと話し合い相談しながら見つけていくことが大事だという。

「例えば155ヤード打つクラブで2度ライ角がズレていた場合は、6メートルの幅で左右に球が散らばるとTPIでは言われています。打ち方の特徴もあるので、フィッターと相談しながら決めていくことが大切になります」

ボール初速がそろっていれば振りやすいということ

トラックマンのデータから見るべき数値で小島がまず注目するデータはボール初速だという。

「ボール初速がそろっているかどうか。初速がそろっていれば安定して芯に当たっているということになるので、シャフトやヘッドがマッチしていることを表しています。逆にそろっていなければ振りにくさを感じているということなので、シャフトやヘッドの組み合わせを考えることになります」

画像: 何球か打った結果でボール初速がそろっていれば、振りやすく芯に当たっていることを表しマッチしているかどうかを判断できる

何球か打った結果でボール初速がそろっていれば、振りやすく芯に当たっていることを表しマッチしているかどうかを判断できる

ロフト、ライ、シャフト、長さ、重量、ヘッドの種類など見るべきポイントは様々な要素があるが、まずは初速が出ていて何球か打った数値がそろっているかどうかを見たいと小島。アイアンで初速のバラつきは、そのまま距離のバラつきになってしまうのでアイアンで重要な安定性は初速がそろっていることだという。

狙ったエリアにボールを止めるのに必要な落下角度は40度以上

続いて打ち出し角やスピン量については、過去の目安に「番手×1000回転」、例えば7番アイアンなら7000rpmや「ロフトの半分の打出し角」、例えばロフト34度であれば打出し角は17度といった時代もあったが、ボールやヘッドの多種多様化によって、しっかり止められているかどうかを表す「落下角度(ランディングアングル)」に注目するという。

ボールを狙ったエリアに止めるためには、打ち出しが低くてスピン量が多いかスピン量は多くはないが打ち出しが高いのかの2通りあると小島。スピン量を減らして飛距離を稼ぐためプロが使うボールであってもスピン量は減っていることから、プロでも高さで止めるようになって来ている中で、ヘッドスピードやボール初速が出しにくい多くのアマチュアゴルファーの場合も高さで止める、つまり落下角度が重要になるという。

「ランディングアングルはショートアイアンでは大きくロングアイアンでは小さくなりますが、どんなに小さくても40度は欲しいところ。ただ7番アイアンで40度になってしまうと6番や5番ではグリーン上でボールを止められなくなってしまいますので、UTや9Wなど別の選択肢をオススメする場合もあります」

落下角度が40度を下回るとランの割合が大きくなり狙ったエリアに止めにくくなる。そうなる番手が何番からなのか? 7番で28度というストロングロフトの時代においては、6番でも40度を下回るケースも増えていることだろう。その場合は、6番を抜いて重心深度が深く球を上げてくれるUTやショートウッドをセッティングに加えることも選択肢に入れたいところだ。

画像: 落下角度(ランディングアングル)が40度を下回ると狙ったエリアに止めにくくなる。何番まで40度以上をキープできるのかによってUTやショートウッドの選択肢を考える必要が出てくる

落下角度(ランディングアングル)が40度を下回ると狙ったエリアに止めにくくなる。何番まで40度以上をキープできるのかによってUTやショートウッドの選択肢を考える必要が出てくる

さらに距離を打ち分けながら方向性も重要視されるアイアンの場合、どれだけ飛んだかという飛距離よりも番手通りの飛距離と方向性に注目すべきだと小島。

「トラックマンではサイドとサイドトータルの数値で方向性を見ます。ターゲットを狙って打つ精度が重要になるアイアン選びでは、インドアのフラットな人工芝のライから打つフィッティングで球がバラつくようではマッスルバックのようなモデルではなくサポート機能のあるミスヒットを許容してくれるモデルも選択肢に入れながら振り心地との兼ね合いになってきます」

アイアンの場合、振り心地を決める要素はヘッドの重心距離、シャフトの重さフレックスなどさまざまあり、シャフトも番手によって重量フローするモデルも存在する。無数に選択肢がある中で信頼できるフィッターとの出会い相談できることが重要になってくる。

取材協力/4plus フィッティングスタジオ&ゴルフサロン

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