スウィング中に上半身の無駄な力を抜いてヘッドを走らせるのが飛距離を出すためのポイントだが、力みを抜こうとすると締めるべき部分の力まで抜けてしまい、かえって飛距離が出なくなるということも多い。そこで、アドレスの段階で力を入れる部分と力を抜く部分を明確に把握しておくとよいと新井は言う。
「アドレス段階で力を入れ締めておく体の部分は【1】腹筋、【2】体幹、【3】下半身(内転筋)、の3つです。そして逆に、力を抜いておく部分は腕です。腕の力を抜いておくのはスウィングスピードとヘッドスピードを速くするためであり、そのスピードを生む出力に耐えられるように、腹筋、体幹、下半身に力を入れて締めておく必要があるわけです。でもなかなかこれを意識してできる人は少ないと思います。日常生活の中で体幹を締めることってなかなかありませんし、多くの人は腹筋に力を入れようとするとお腹を引っ込めた状態を作りますが、この2つはまったく違う動作です」(新井、以下同)
じつはこのアドレス時の「力を入れる」ことと「力を抜く」状態、体のある部分を意識するとすべて同時にできてしまうという。
「アドレスの姿勢を作ったら、お尻の穴をキュッと締めるんです。そうすると腹筋、体幹、内転筋に力が入るので、先ほどの【1】、【2】、【3】の箇所が同時に締まってきます。さらに、お尻の穴に力を入れるとおへその下の周辺(丹田)に力が入るので、肩や腕に入っていた余分な力が重心とともに下がるので、これでスウィングスピードを出すためのアドレスをとることができるのです」
大事なことは、漠然とお尻に力を入れるのではなく、お尻の穴に意識を集めて力を入れることがポイントだ。
「漠然とお尻に力を入れるとなると、お尻の外側(大・中殿筋)に力が入ります。ここの力が入るといいスウィングをする上での妨げになってしまいます。さらにお尻の穴を締めると、お尻の位置がちょっと高くなった感じがすると思います。これは骨盤が前傾できている証拠です。骨盤が前傾しているのが正しいアドレスであり、腰のスムーズな回転ができるようになりますよ」
力が入るところには入り、抜くべきところは抜けていることがアドレスにおいて重要。お尻の穴に力を入れる新井おすすめのアドレス作りを、ぜひ次のラウンドで試してみてほしい。
TEXT&PHOTO/古屋雅章
撮影協力/SEKI GOLF CLUB 目黒