グリーン周りのアプローチ、どんなクラブをチョイスしてますか? まだまだ芝の本格的に生えそろうには時間のかかるこの時期。薄い芝からのショートゲームに有効なのが、パターでのランニングアプローチです。ラフもまだ短く、転がしても抵抗が少ないので、ロフトの多いウエッジを使用するより、大きなミスを軽減できます。
グリーン外からパターを使うことを「テキサスウェッジ」なんて言い方をします。
これは地面が硬く締まったコースが多かった米国テキサス州で、パターでのアプローチが有効だったことから、テキサス出身の名手ベン・ホーガンが広めた呼び方だそうですが、日本のゴルファーには、寄る確率は高いと思っていてもなかなか使いこなせない、使う勇気がもてない、という方も多いようです。
恐らくその理由としては、グリーン面より芝が長いカラーやラフの部分でどのくらいブレーキがかかるか予想しづらく、距離感が出しにくいということが大半でしょう。
しかしいくつかのポイントを抑えておけば、そうした問題をクリアでき、「テキサスウェッジ」という武器を手にすることが出来ます。まずは状況判断、パターを使うということは、ボールをヒットした直後から地面を転がっていくのですから、転がしていくエリアの芝の状態をより丹念に見極めることが重要です。
【1】順目か逆目か。ラフやカラーといった部分はグリーン面より芝が長いのですから芝目の影響を強く受けます。順目なら少々長いラフでも抵抗が少なく、パターを選択しやすくなります。
【2】乾いているか湿っているか。朝露や散水の後など、雨が降っていなくとも地面が乾いているとは限りません。もちろん、もちろん水が浮くほどのライならパターは不可になります。
【3】傾斜の度合いやライン。グリーン面やその手前の傾斜が複雑で予想がつきにくい という場合はランニングの選択はしにくくなります。キャリーでその部分をクリアしたほうが寄る確率が高くなります。
次に意識して頂きたいのが、インパクトロフト。ほとんどのパターに3~4度程度のロフトがついています。そのため、ロフトなりにヒットした時にはインパクト直後にはわずかですが、ボールが浮きます。グリーン外からパターを使う時には、このロフトを上手く利用してキャリーを出すことで地面の影響を軽減でき、不確定要素を減らし距離感の狂いを少なくすることが出来ます。
普段フェースを下向きに傾けてハンドファーストに構えるタイプの方は要注意です。キャリーが少なくなり、地面の影響をより多く受けてしまいます。インパクトロフトを大きくするにはハンドファーストとは逆にフェースを上に向けるようにハンドレイドで構えるのが有効です。
ただし、インパクトロフトが大きくなると、ボールに与える推進力が弱くなります。普段より大きいストロークが必要になりますので、インパクトロフトによって転がりがどう変わるのか、自分なりの感覚を掴んでいく必要はあります。
この原則を知っておくと、たとえば「大きく打ったら大オーバーしそうだけど、手前で止まってしまうのも嫌だ」といったケースでも、ストロークの幅は変えずにハンドレイトに構えることで、大きく振っても大オーバーする危険性を減らす。というように応用することが出来ます。
もうひとつ、ロフトに関するポイントがあります。インパクトロフトの大きさによってボールへの推進力が変わるということは、ストロークのたびにインパクトロフトがバラバラでは安定したタッチは出せないということになります。グリーン外でパターを使うときにはグリーン上より大きいストロークをするケースが多く、パッティングのストロークと言えども軌道が狂いやすく、インパクトロフトも変わりやすくなります。
これが簡単なはずのテキサスウェッジで失敗する大きな原因のひとつです。これを防ぐには無理に強振したりせずに、パターで打てる距離の上限を決めておく、ということです。個人差はありますが、グリップを腰の高さ以上にまで振り上げるくらい大きなストロークになるとミスの確率が大きくなります。
それ以上の距離を打つならミドルアイアンやチッパー、20~25度くらいのユーティリティを使用するといいでしょう。こうしたクラブを使う時もストロークはパッティングのストロークと同様、インパクトロフトを意識し、クラブのロフトなりにヒットすることを心掛けて下さい。
ユーティリティなども含めた「テキサスウェッジ」の使い方を自分のものにして薄芝の時期を乗り切りましょう。