清水重憲は、1997年にプロキャディとなり、翌98年の田中秀道の日本オープン制覇に帯同。2007年には、キャディを務めた谷口徹と上田桃子が共にその年の賞金王と女王となり「男女2冠キャディ」と称される。
その後も、イ・ボミの2015年、16年の2年連続賞金女王や、2019年の堀川未来夢の初優勝など、男女両ツアーの数々の記録と記憶に残るシーンでキャディを務めてきた。プロキャディ歴24年で帯同したプロゴルファーの勝利数は「39」に達し、“優勝請負人”とも言われるその手腕はプロからの信頼も厚い。
そんな清水キャディにとって2020-21シーズンは、どのようなシーズンだったのかを振り返ってもらった。
「優勝ということに関しては、20-21シーズンの前半までは、最終日を迎えた段階ではリードしてスタートをして行ったのに、そのまま勝ち切れず、最終的に逆転されて優勝を逃した試合が3試合ほどあったので悔しい思いもありました。21年のシーズンの10月のマスターズGCで古江彩佳プロに帯同して優勝できましたが、この試合は、いろいろサポートを受けている大会だったので、そこで優勝できたことは嬉しかったですね。あと、『毎年、まず1勝』という目標を立ててシーズンに臨んでいるのですが、それがクリアできたことと、私自身2年半ぶりのツアー優勝ができたので、その点ではいいシーズンだったなと思っています」(清水重憲キャディ、以下同)
もちろん「勝てそうな試合ももっとありましたし、そのすべてで勝てていればよかったんですけれど」と清水キャディ。「でも欲を言ったらキリがないので、1勝できたので、満足いくシーズンだったかなと思いますね」と昨年を振り返る。
そもそも清水キャディは、年間でメインでバッグを担ぐ選手と決め、空いた週にオファーがあった選手を担ぐのが基本のスタイル。コロナ禍でロングツアーとなった2020-21シーズンは多くの選手のキャディを務めた。
20年の開幕戦のアース・モンダミンカップでは実力者の鈴木愛を、21年の終盤戦の伊藤園レディスでは黄金世代の河本結のバッグを担いだ。鈴木愛とは、「このラフはいいけどこのラフはダメだから、こうしよう」などと2人で相談しながら回った。残り2試合でシード権獲得を目指す河本結には「ビビったら負けや」という言葉を掛けた。トッププレーヤーから若手まで、幅広くキャディをする清水キャディは、選手によってキャディ業務のパフォーマンスをどのように変えていくものなのだろうか。
「まず、プレーヤーに合わせるというのがキャディの仕事の基本です。そのうえで、私が経験したこととか、今まで積み上げてきたノウハウみたいなものを、プロ達に伝えるというのが『自分のスタイル』というものに繋がるんだと思うんですよね。その伝えるものを選手が欲しているものや、経験とか技量に応じて変えていっているという感じですかね。だから、あくまでも選手に合わせながらという基本はブレないようにはしていますね」
2022年シーズンの開幕が目前まで迫ってきたが、今シーズンの目標も「毎年同じですが、『まずは1勝』ですね」と清水キャディ。
「女子ツアーは38試合、男子ツアーは24試合。そのすべての試合のキャディとして参戦するかはまだ分からないんですけれど、恐らく30試合くらいは担ぐ予定でいます。その中でまず1勝できればなと思っています。とくに去年のアクサレディスは、河本結プロのキャディを務めたのですが、最終日に4打リードしてスタートしていたのを逆転されて2位になった大会なんです。今シーズンの前半は河本結プロのキャディに就くことが多いので、(アクサで)去年の借りを返したいなという気持ちはありますね」
昨年に引き続き、新シーズンも清水キャディの熟達のキャディワークに注目だ。