青木瀬令奈といえば、飛距離は出ないものの正確なドライバーでフェアウェイをとらえ、ショートウッドやUTでピンを果敢に攻めるプレースタイルだが、打ち上げや天候によっては物理的に2打目で届かないパー4も出てきてしまう。そこでスコアメイクのカギとなるのがアプローチとパットになるという。今回は20-21年シーズンに平均パット数1位(1ラウンド当たり)に輝いた極意を教えてもらった。
青木は朝の練習グリーンでボールを転がす前に必ずやることがあるという。
「朝の練習グリーンでは手で芝を触ります。そして指先で少し押してグリーンの硬さ(コンパクション)をチェックします。触った感触の硬さでピッチマークがつきそうだな(スピンで止まりそうだ)、(スピンはほどけて)前に跳ねてしまいそうだな、ということをチェックします。その次に芝が痛まないように軽くこすってみて芝の長さチェックします。これは最後の止まり際のボールの転がりに影響するので、カップ際で切れるのか抜けていくのかを感じます」(青木瀬令奈プロ、以下同)
グリーンの状態を手で触って確認することで、ショットやアプローチでのスピンの入り方、パッティングのときのタッチや曲がり方の目安にしているという青木。スタート間に練習グリーンでボールを転がす時間がないときでも、グリーン面を触っておけばスタートホールからタッチを合わせられるという。
確かにグリーン面の湿った感じや、芝の毛羽立ち方、葉の硬さによってパッティングの転がりや曲がり幅は大きく変わってくる。実際に手で触ることでその感触が残り転がりや曲がり幅を決める際の判断材料になることだろう。
ここでは約5メートルの右に曲がるスライスラインでラインの読み方を教わった。
「まず、曲がるラインというのはカップに対しては下っているので、ストレートに下るラインを見つけます。そこから線を引っ張ってきて、右へ傾斜する度合いと上りか下りを見ながら曲がりの頂点(ブレイクポイント)を決めます」
もうひとつ、ラインとタッチを決める際に気をつけていることはカップを過ぎた向こう側の景色に惑わされないこと。
「カップを過ぎた後の傾斜に惑わされて、大きくショートしたり、オーバーすることを避けるために、手でカップの向こう側の景色が見えないように隠してカップまでのラインとタッチをイメージしています」
カップ際で切れそうか抜けそうかというのは、練習グリーンで芝を触った感触が当然生かされている。芝が毛羽立っていたり芝目が強くカップ際で切れそうだと感じれば、曲がりの頂点を少し大きめに読むし、芝が短く面も均一でカップ際で抜けそうな感触であれば、曲がりの頂点を浅く設定するという。
「打つときにはブレイクポイントまで届くタッチで、ブレイクポイントに向けて真っすぐに打ち出し傾斜で曲がっていくイメージで打ちます」
芝目や芝の長さやや硬さを手で触って感触を得ることで、転がり方やカップ際の切れ方もイメージしやすくなると青木は教えてくれた。昨シーズン平均パット1位の青木瀬令奈のパッティングの極意を試してみてはいかがだろう。