日本女子ツアーの開幕戦を制し、初優勝を挙げた西郷真央のスウィングを東大ゴルフ部監督で日本におけるプロコーチの草分け的存在。現在、成田美寿々、穴井詩らのコーチを務める井上透が解説!

 基本的に、ゴルフスウィングは、体の回転と側屈のコンビネーションによって成り立っています。  
 体の回転というのは、背骨を軸に体を左右に入れ替える動作、側屈というのは、バックスウィングで左サイドに体を倒し(左サイドを屈曲させ)、ダウンスウィングで右サイドに体を倒す(右サイドを屈曲させる)動作のことです。
 この体の回転と側屈の割合は、プレーヤーによって変わります。ふたつの動作をバランスよく行う選手もいれば、回転の割合が多い選手や、側屈の割合が多い選手もいるわけです。

 そういう観点からすると、今季の開幕戦を制した西郷真央選手は、側屈の割合が多いタイプのプレーヤーであると言えるでしょう。体の正面から見ると、体を左に傾け、重心を左に使うことでクラブを右に動かし(バックスウィングし)、体を右に傾け、重心を右に動かすことでクラブを左に動かしている(ダウンスウィングしている)のがよくわかります。

 これは、低年齢からゴルフを始めたプレーヤーによく見られる動きなのですが、クラブと体の重心を逆方向に使うことで、体全体でクラブをコントロールしているのです。

画像: 側屈主体で、手首の動きを抑えているため、バックスウィングはほぼストレートに上がり、かなりアップライトなトップになっている(写真は2021年 サントリーレディス 撮影/姉崎正)

側屈主体で、手首の動きを抑えているため、バックスウィングはほぼストレートに上がり、かなりアップライトなトップになっている(写真は2021年 サントリーレディス 撮影/姉崎正)

西郷選手のような側屈主体のスウィングというのは、かなりの柔軟性が必要なるため、一般男性が同じ動きをするのは難しいかもしれません。しかし、回転過多のプレーヤーなどは、側屈の動きを少し取り入れると、ショットの正確性がアップする可能性があります。

 たとえば、体の回転を意識しすぎて、頭が左右にブレてしまう人などは、体を少し左に倒してバックスウィング、体を少し右に倒してダウンスウィングするのです。

 回転過多の人が、このような側屈の成分を取り入れると、回転と側屈のバランスがよくなり、「頭を動かさずに打つ」という感覚を身につけやすくなると思いますので、ぜひ試してみてください。

画像: ダウンスウィングからフォローにかけて体の動きが止まらないので、ハンドファーストでインパクトゾーンの長い動きが実現されている(写真は2021年 サントリーレディス 撮影/姉崎正)

ダウンスウィングからフォローにかけて体の動きが止まらないので、ハンドファーストでインパクトゾーンの長い動きが実現されている(写真は2021年 サントリーレディス 撮影/姉崎正)

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