パターの形状はゴルフクラブのなかでも多種多様。近年は深重心で寛容性の高い大型マレットが存在感を放っていたが、なんとオデッセイのニューパター「イレブン」はマレットなのに浅重心!? トレンドウォッチャー・コヤマカズヒロが詳細をレポート。

オデッセイといえば、長年パターのカテゴリーで隆盛を誇ってきたリーディングカンパニーで、一時は「スコッティ・キャメロン」を除くと販売ランキングをほぼ独占することも多かった。

だが、近年はテーラーメイドの「スパイダー」や「トラス」、ピンの「シグマG」や「2021」など有力ライバルが登場して、一強というわけにはいかなくなっている。しかし、ラインナップの豊富さはほかの追随を許さず、ナンバーワンパターカンパニーの気概を感じる。さまざまな形状とそのバリエーション、そして新しいアイディアを盛り込む点でも、幅広く展開しているメーカーだ。

2月に発売された「イレブン」シリーズもそうしたオデッセイらしさを感じるパターと言えそうだ。形状はすでに発売されている「テン」に似たネオマレット型で、あえて言ってしまえば「スパイダー」っぽさを感じる、いかにも重心が深そうなやさしいパターという外観だ。

画像: オデッセイのニューパター「イレブン」(写真はTOUR LINEDモデル)

オデッセイのニューパター「イレブン」(写真はTOUR LINEDモデル)

ところが、「イレブン」はヘッドの前方部に比重の大きな素材を使用して、重心位置を大きくフェース寄りに設定したのがいちばんの特徴だ。比重の重いパーツは前方に、比重の軽いパーツは後方に配置したことで、見た目からは考えられないほど、浅重心の重心設定になっている。

パターの進化は、重量を増やしたりその重量をより後方に配分するなどして、深重心化してきた傾向がある。「スパイダー」はまさにそんな流れから生まれた形状だし、さらに以前から深重心化に取り組んでいるピンは昨年、上下左右の慣性モーメントが10,000g・cm2を超える「2021ハーウッド」をリリースした。ミスへの寛容性や直進性を極限まで高めたモデルだ。

しかし、あまりに後方が重いと、「操作しにくい」と感じるゴルファーが一定数存在するのも事実。そんなゴルファーのために浅重心化して、操作感を向上したのが「イレブン」というわけだ。慣性モーメントは高い数値をキープして、ネオマレットのやさしさを残しているのもポイントだ。

今年のオデッセイは、浅重心化して操作性を増すというのがテーマのようで、同時期に発売される新製品「TRI HOT 5K」はブレードタイプでありながら、5,000g・cm2を超える慣性モーメントと浅重心化を実現している。新しくなった「トゥーロン」パターも、前作よりも重量配分を前方にして、浅重心化している。

テーラーメイドでは、2020年に総重量の約3分の2を前方に配置した「スパイダーFCG」というモデルを発売している。「イレブン」同様に操作性に配慮した重心設定だったが、もうひとつ認知は高まらなかった。テーラーメイドの最新作「スパイダーGT」は、前後ではなく、左右に大きく重量配分し「4:2:4」(※左4 中央2 右4)にしたという。マレット型の進化は、より大胆な重量をどこに配置するかというのがひとつのテーマになっている。

深重心になると、直進性が高くなりショートパットでの優位性が高まるだけでなく、人によっては後方の重心を感じて、自然とテークバックしやすいというメリットもある。いっぽう、ハンドファーストにするとフェースが右を向きやすかったり、ヘッド後方が重みで下に落ちるようなフィーリングが合ったりとデメリットが無いわけではない。

「イレブン」のようなパターが出るのは、そうした問題を解決するためとも言える。大型ネオマレットが苦手で、距離感が出しにくい人などにハマりそうな新たなタイプのパターと言えるだろう。

This article is a sponsored article by
''.