みんゴル取材班(以下、み):いまのアイアンは全体的にロフトが立ってきています。とくにアマチュアには1番手から2番手もロフトを立てた飛び系アイアンが人気ですが、中にはストロングロフトを試してみたものの逆に飛ばなくなったという声もちらほら聞こえてきます。飛ぶはずのアイアンが飛ばないのはシャフトや重量などフィッティングの問題ですか?
宮城:じつはストロングロフトが飛ばないのはプロゴルファーのあるあるなんですよ。
み:プロが打っても飛ばないということですか?
宮城:けっこう前ですが、7番で26度の超ストロングロフトのアイアンが出たときに、プロとアマチュアでテストしたときの話です。アマチュアは少しロフトの立った自分のアイアンと打ち比べて全員飛ぶようになりました。でも、プロが打つとまったく球が上がらなくて、7番なのにライナーですぐに球が落ちてします。結果、アマチュアより飛ばなくてちょっとパニックになっていましたね。
み:同じクラブでアマチュアに負けたらそうなるでしょうね。でもなぜ飛ばなかったのでしょう。
宮城:似たような話はほかのプロからもよく聞くし、自分が打ってもストロングロフトは飛びません。後日計測器でアタックアングルやダイナミックロフトを測って、プロがどれくらいファンドファーストで打っているのか調べてみたところ、そのときのプロのハンドファースト率は30パーセントでした。
み:それだけロフトを立てて打っているわけですね。30パーセントというとどれくらい?
宮城:ロフト30度のクラブがインパクトで21度に立つことになります。7番で190ヤード飛ぶのも当たり前ですよね。それまでは何となく立てても1番手くらいと思っていたのに3番手だったので驚きました。
み:そのプロがストロングロフトのアイアンを使えば軽々200ヤード超えですね。
宮城:そううまくはいきません。ロフト26度の7番を30%立てたら18度、20%としても20度です。これだけ立っているのに、7番の長さでアップライトに振ったら球は上がりません。
み:なるほど。ではアマチュアが飛ばせるのはなぜでしょう。
宮城:人もによりますがアベレージゴルファーはたいていスイープかちょっとアッパー気味にヘッドが入ります。そういう人は球を上げられるのでロフトなりに飛ばせます。でも、アマチュアでもちゃんとハンドファーストで打てている人は飛びません。ストロングロフトだからといってみんながみんな飛ばせるわけでないことは覚えておくべきでしょう。
み:自分が使って飛ぶか飛ばないかどうやって見極めたらいいですか?
宮城:カタログに書いてあるクラブのスペックはすべて静的に計測されたものです。ロフト角はシャフトを垂直に立てた状態で測るわけですが、そうやって打つ人はほとんどいません。本来ならそのクラブで打ったときに自分のインパクトロフトが何度になるかを測らないといけません。
み:もう少しかんたんに見分ける方法はありませんか?
宮城:構え方でもある程度判断できますよ。7番ならボールはだいたい真ん中に置きますよね。ふつうに構えたとき手が真ん中にある人は、インパクトもその位置に戻ってくるとしてストロングロフトが合う可能性が高いです。逆に、手が左ももの前に来る人はハンドファーストで打っているか、ハンドファーストで打つ意識がある人なのでまったく飛ばないか、飛んだとしてもストロングロフトの長所は生かし切れていないでしょう。