まず中村、堀口の両名に打ってもらったのは「ローグ ST MAX」。全4モデルのなかではややドローバイアスな設定となっており、ストレートな弾道でやさしく飛ばせるモデルという位置づけになっている。ではさっそく見た目の印象から、両者に聞いてみよう。
「本当にシャローで、ボールを拾いやすいというイメージがありますね。クラウンはマットなブラック仕上げで締まっていますし、フェースも構えたときに見えるので安心感もあります」(堀口)
中村も「投影面積の大きさ、ネックの長さがしっかりあり、そのぶん重心が低くなっていて、かつシャローな形状で球を拾い上げてくれるような感じがしますね」という。
では5番ウッド(ロフト18度)を試打した際の両者のデータの平均値と、インプレッションを見てみよう。
【堀口のローグST MAXフェアウェイウッド(5番)の試打結果】
HS42m/s キャリー198Y トータル218Y 打ち出し角13.8度 ボール初速57.4m/s スピン量3112rpm
【中村のローグST MAXフェアウェイウッド(5番)の試打結果】
HS43m/s キャリー208Y トータル226Y 打ち出し角13.1度 ボール初速59.7m/s スピン量3427rpm
「まず、球がかなり上げやすいですね。そして、下っ面に当たっても飛んでくれる寛容性の高さも感じられます。弾道に関してはつかまりやすい、つかまりにくいといった味付けは感じず、非常にオーソドックスに打てますね」(堀口)
「見た目の印象通り、球が上がりますね。軽く振って飛ぶ、という印象です。とくに自分で上げようとしなくても簡単に球が上がる、という安心感がありますね。弾道は本当にニュートラルな性格で、打感も軟らかく、力まず打てる感じがします」(中村)
続いて打ったのは「ローグ ST MAX D」。モデル名に「D」が付く通りドローバイアス設計で、「ローグ ST MAX」と比べてヘッド体積が6cc大きい、154ccという設定のため、慣性モーメントも高め。ロフトも同じ5番でも1度寝かせた19度となっており、全体的にやさしさが増していると言える。
見た目の印象についても「シャローでボールを上げやすそうな形状なのは『MAX』同様ですが、より横幅が広いので、さらに寛容性が増しています」と堀口。中村も「より投影面積が広くなっているぶんよりやさしいですね」という。
では「ローグ ST MAX D」の5番ウッドを試打した際の両者のデータの平均値と、インプレッションを見てみよう。
【堀口のローグ ST MAX Dフェアウェイウッド(5番)の試打結果】
HS43m/s キャリー208Y トータル227Y 打ち出し角12.3度 ボール初速58.8m/s スピン量3052rpm
【中村のローグ ST MAX Dフェアウェイウッド(5番)の試打結果】
HS43m/s キャリー207Y トータル222.5Y 打ち出し角15度 ボール初速60.1m/s スピン量3194rpm
「『MAX』と比べて少し打感に弾く感じがありますね。触れ込み通りちゃんとドローバイアスでつかまりやすく、かつボールも上げてくれるのでハイドローな感じが出しやすいです」(堀口)
「しっかりつかまえてくれて、フェースが開いたまま当たりにくい、という感覚があります。なのでそもそもフェースが開いた状態で当たりにくく、右に飛ばない安心感がありますね。そして、もし開いて当たったとしてもフェアウェイの幅の中で耐えてくれそうです。弾き感があるぶん、打音の印象で力みにくいのもポイントですね」(中村)
次に打ったのはロースピン設計で強弾道が打ちやすい「ローグ ST LS」。上級者向けモデルと位置づけされており、ソール前方にはスクリューウェートが追加で搭載されより前重心設計となっている。見た目についても「他のモデルとはだいぶ違う」と両者は言う。
「少しディープな形状で、フェースのスコアラインの入り方も違うので見た目の印象はかなり違いますね。スッキリしていて、球が強そうなイメージがヘッドから伝わってきます。フェースの幅が狭くて、シャープに振り抜ける感じがしますね」(堀口)
「精悍な顔つきでしっかり打っていきたくなる、打っていけそうな印象です。ソールのラウンドもより丸みがあり、さまざまなライへの対応もしやすそうですね」(中村)
では5番ウッド(ロフト18度)を試打した際の両者のデータの平均値と、インプレッションを見てみよう。
【堀口のローグ ST LSフェアウェイウッド(5番)の試打結果】
HS43m/s キャリー206Y トータル230Y 打ち出し角13.8度 ボール初速58.9m/s スピン量2461rpm
【中村のローグ ST LSフェアウェイウッド(5番)の試打結果】
HS44m/s キャリー229Y トータル246Y 打ち出し角13.8度 ボール初速63m/s スピン量2924rpm
「飛距離も出ていますし、真っすぐ飛んでくれますね。スピン量、とくにサイドスピンを抑えつつ、高さもある程度出せています。これは純正シャフトがしっかりめな性能なのもありそうですね。より飛ばしたいなら『ローグ ST LS』、と言えるくらいには飛距離性能が高いですね」(堀口)
中村も「ある程度振れる方が飛ばそうと思ったら、4モデルの中なら『ローグ ST LS』が一番でしょう」と飛距離性能を評価。「小気味よい弾き感で打ちやすいですね。とはいえ、前に飛ぶ強さがあるぶん、少し球が上がりづらくはなっています」とのことだ。
そして最後に打ったのは「ローグ ST MAX FAST」。振り抜きやすさを重視した軽量モデルで、他3モデルと比べて、シャフトを含め約30グラムほど軽量化がなされている(3番の場合)。
その軽量化の度合いは手に取った瞬間に感じ取れるほどで「持った時点で明らかに軽いですね」と中村。ヘッドの見た目ついては「ちょっと幅が広めでアップライトに感じます。『ローグ ST MAX』に近いですが、少し違う感じですね。シャフトの違いもあってすごく軽くて、振りやすそうな感じがします」と堀口は言う。
では5番ウッド(ロフト19度)を試打した際の両者のデータの平均値と、インプレッションを見てみよう。
【堀口のローグ ST MAX FASTフェアウェイウッド(5番)の試打結果】
HS43m/s キャリー211Y トータル228Y 打ち出し角14度 ボール初速59.7m/s スピン量3764rpm
【中村のローグ ST MAX FASTフェアウェイウッド(5番)の試打結果】
HS43m/s キャリー215Y トータル231Y 打ち出し角18.1度 ボール初速60.5m/s スピン量3721rpm
「『ローグ ST MAX D』よりさらに弾くような打感ですね。ヘッドの走り感がすごくて、シャフトのキックが入って球を上げてくれるのを感じます。それもあって高さはかなり出ますね。僕自身のヘッドスピードに対してやさしめのスペックなのでほかの3モデルより少しヘッドスピードを落として振りましたが、計測データを見ると他3モデルと同等のヘッドスピードが出るくらいです。ドライバーで言うとヘッドスピード36~40m/s辺りまで、振れる女性だったら『MAX FAST』のメンズモデルもじゅうぶんアリですね」(堀口)
中村も「ヘッド・シャフトの性能もあって、軽く振ったのにつかまえて飛んでくれます。フェアウェイウッドってこんなにやさしくなったんだっていうくらいにやさしいですね」と評価。「力まず振るだけで、ほか3モデルと同じくらいのヘッドスピードが出ますし球も上がりやすいですよ」とのことだ。
さて、ここまでで全4モデルをひと通り打ってもらったわけだが、両者の総意として言えるのはまず「モデルごとにしっかりと性格づけされている」という点だ。
「4モデルともネック調整機能、いわゆるカチャカチャが搭載されていないぶん、その重量をちゃんとヘッドに配分しているのだろうな、というのが打っていて感じられましたね。もちろんフェースに関してもAIによってすべて異なる設計がされている、という点でも、モデルごとに色が出ています」(中村)
その性能をざっくり表すなら「『ローグ ST MAX』が4モデルのなかでもっともスタンダード、『ローグ ST MAX D』がドローバイアス、『ローグ ST LS』が低スピンで飛び系、『ローグ ST MAX FAST』が振りやすさ重視の軽量タイプ、といったところでしょうか」と堀口。
「とくにアスリート志向の方に合うと言えるのが『ローグ ST LS』ほか3モデルはアベレージの方の中でも持ち球やヘッドスピードによって合うモデルが変わってきそうですね。ドロー系の方なら『ローグ ST MAX』、フェード系なら『ローグ ST MAX D』、最近ヘッドスピードが落ちてきたなと言う方は『ローグ ST MAX FAST』がオススメですね」(堀口)
協力/PGST