開催が間近に迫った海外メジャー・マスターズ。その舞台となるオーガスタGCのなかでもプロゴルファー・兼濱開人が注目して欲しいというのはアーメンコーナーの手前、10番ホールでの選手たちのコースマネジメントだという。詳しく話を聞いてみよう。

マスターズの舞台・オーガスタナショナルGCはアーメンコーナーと呼ばれる11番、12番、13番ホール(正確には11番のドッグレッグのコーナーから13番のドッグレッグのコーナーまで)を始め、難ホールが多いコース。

そんな難コースをプロたちがどのように攻略していくか、という部分はアマチュアが観戦を楽しむだけでなくコースマネジメントを学ぶうえでも肝となる部分だ。なかでも兼濱が注目して欲しいと言うのが、アーメンコーナーのちょうど手前、10番ホールのコースマネジメントだという。

「10番ホールは左ドッグレッグかつ打ち下ろし、そして距離も495ヤードと長めのパー4ホールです。とくに難しいポイントが、ちょうどドッグレッグのコーナー付近のフェアウェイ右サイド。ややつま先上がりかつ左足下がりの傾斜で、もっともダフりやすい部類に入るライですし、傾斜の度合いもアマチュアの方であればスウィング中にバランスを崩してしまうくらいキツイんです」(兼濱、以下同)

画像: グリーンサイドから見たオーガスタナショナルGC10番ホール

グリーンサイドから見たオーガスタナショナルGC10番ホール

もしこういったライから打つ場合「ダフリによるミスヒットを防ぐためにはカットにヘッドを入れて打っていきたいところなのですが……」と兼濱は続ける。

「厄介なのが、グリーン右手前にあるバンカー、そしてグリーン付近の傾斜です。カットに打つと右に曲がりやすいので、右へのミスはある程度妥協して打っていきたいところなのですが、そこをバンカーが咎めています。加えて、グリーンは左サイド手前側に向かって下る強い傾斜があることで、左サイドも狙いづらいし、万が一バンカーに捕まってしまった際の次の一打、バンカーからグリーンオンを狙うアプローチにもリスクを持たせています」

要するに、グリーンの左右どちらを狙ってもリスクが発生してしまうショットを、難易度の高いライから打たなければいけなくなってしまうというわけだ。

これを防ぐためには「そもそもキツイ傾斜がかかっているフェアウェイ右サイドを2打目地点にしないことが大切」だという。

「ドローヒッターであれば、ティーイングエリア左サイドから林スレスレを狙ってコーナーを越えられるよう上手く打てば、傾斜でランが出て距離も稼ぐことができ、フェアウェイバンカーのプレッシャーも受けない2打目地点からピンを狙うことができるでしょう。いっぽうフェード一辺倒な選手にとってはこれができないので、すごく嫌なホールになりますね。オーガスタが『ドローヒッターが有利なコース』と呼ばれる部分でもあります」

これらのコースレイアウト、設計意図を念頭に置いて観戦することで「セカンドショットをどの地点から打つのかでティーショットの良し悪しを判断できますし、もしつま先上がりかつ左足下がりのフェアウェイ右サイドの傾斜から打つ選手がいれば、そのショットの難しさや凄さをより理解できますよ」と兼濱。

“なぜプロはそこを狙って打ったのか”に着目すれば、自身がプレーする際のコース攻略の考え方にも少なくない変化があるはず。観戦の際はただショットの結果や飛距離だけでなく、選手たちのマネジメントも併せて考えてみるとより一層マスターズを楽しめるだろう。

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