米女子ツアー「JTBCクラシック」の最終日、畑岡奈紗は8アンダーの16位タイ、古江彩佳は1つスコアを伸ばして32位タイ、渋野日向子は8つスコアを落として72位タイで終えた。日本勢の様子をプロゴルファー・中村修が現地からレポートをお届け。

期待された渋野選手ですが、3日目までショットは好調でグリーン上で手を焼いていましたが、最終日はショットパットともに精彩を欠きました。ティーショットはほぼフェアウェイをとらえ、セカンドもグリーンをとらえる高いショット力を示しカルフォルニア独特のポアナ芝のグリーンさえ攻略できればと最終日に上位進出を本人も期待してスタートしたはずです。

しかし、スタートホールで同伴競技者が2打目地点から戻ってティーショットを打ち直すハプニングから始まると、出だしから連続ボギーのあと、3番でバーディを奪いますが5番、6番、9番とボギーとし前半は40を打ち前半を折り返します。後半の10番パー5でもティーショットを左サイドの池に入れボギーと悪い流れを断ち切れず2ボギー1ダブルボギーとし、この日は80と乱調。トータル8オーバー72位タイまで順位を落として終えました。

顔を上げて前を向いて歩く姿や悪い流れを断ち切ろうとする仕草やが見られましたが、自分でコントロールできることと、できないことがゴルフにはあることを感じさせる最終日となりました。悔しさをにじませた会見を終えた後に、駆けつけたファンにサインしたり写真を撮ったりと健気に対応する姿に渋野選手の心を見た気がします。

画像: 最終日は崩れて72位タイで終えた渋野日向子(写真は2022年のJTBCクラシック)

最終日は崩れて72位タイで終えた渋野日向子(写真は2022年のJTBCクラシック)

古江彩佳選手は、4番でボギーが先行するも5番パー5、7番パー4でバーディを奪い、9番ではグリーン奥に外すもパターで寄せてきっちりとパーをセーブし前半は1アンダーで折り返します。好調なショットを生かしてスコアを伸ばしたいけど伸びないジレンマの中で、終始フラットな表情で自分のゴルフに徹する姿を見せました。我慢強く、最後まであきらめずにプレーをまっとうする強さを感じさせました。

画像: 多くのチャンスを作るもパットに苦しみ4日間を6アンダー32位タイで終えた古江彩佳(写真は2022年のJTBCクラシック)

多くのチャンスを作るもパットに苦しみ4日間を6アンダー32位タイで終えた古江彩佳(写真は2022年のJTBCクラシック)

20-21年シーズンのFWキープ率は76%、パーオン率70%と高いショット力を持つ古江選手ですが、今週もFWキープ率80%、パーオン率77%と米女子ツアーのフィールドでも自分のプレースタイルを貫けた点は大いに評価できるのではないでしょうか。ポアナ芝のパットには最後まで苦しみましたが、数多くのバーディチャンスを作れていましたので、芝質も変わる来週は古江選手らしいプレーを見せてくれることでしょう。

画像: 課題を試合中にクリアしメジャーに向けて視界良好な畑岡奈紗は8アンダー16位タイで終えた(写真は2022年のJTBCクラシック)

課題を試合中にクリアしメジャーに向けて視界良好な畑岡奈紗は8アンダー16位タイで終えた(写真は2022年のJTBCクラシック)

最後に畑岡奈紗選手は、朝の練習場からリラックスした雰囲気でスタートし上位進出を目指しました。大幅にアップデートしたギアの感触もアジアラウンドの2戦より日に日によくなっているようです。「ドライバーで飛距離を稼いで例年よりも(2打目を)前から打てたところもあったので感触はいいと思います」。それと課題に挙げていたウェッジの距離感も随所にピタリと寄せる場面も見られ、試合の中でしっかりとクリアして来ていました。来週のメジャーに向けしっかりと準備できたように思えました。

4日間にわたり3名の日本人プレーヤーを追いかけてきましたが、世界ランク8位の畑岡奈紗選手は米女子ツアーの中心選手としてツアーをけん引する存在になっています。メジャー制覇に向けて視界良好といったところではないでしょうか。

古江彩佳選手は流石の昨シーズンのメルセデスランク1位の総合力の高さを見せ、調整力、対応力、ショット力と十分に戦えるパフォーマンスを持つことを改めて感じさせてくれました。他の選手も手こずったポアナ芝のグリーンには苦労しましたが、ショットとグリーン周りでの対応もしっかりできていました。

そして渋野日向子選手は、最後までハラハラさせる終わり方になりましたが、20年までの実績を作った自分を捨て21年はゼロからスタートし1年余りでこのステージまで這いあがってきたことは並大抵ではなかったはずです。経験をもとに自分のゴルフと向き合い、成長していく姿を見せてくれるでしょう。

試合の結果はというと、9バーディ1ボギーでクラブハウスリーダーとなっていたタイのアッタヤ・ティティクルが首位でスタートしたナンナ・マドセンとプレーオフの末、LPGAツアー初優勝を飾りました。ティティクルはアマチュア時代にプロのトーナメントで2勝し日本ツアーにも参戦したことがある19歳です。ロングゲームが得意だという通り、プレーオフでもピンを果敢に攻め優勝を手繰り寄せました。

来週の「シェブロン選手権」は昨年まで「ANAインスピレーション」として古くは「ナビスコダイナショア」として歴代のある大会が開催されます。開催コースは来年から変わるので優勝者が18番グリーンわきの池に飛び込むシーンも今年が最後になりそうです。グリーンが硬く速くなることを畑岡選手も警戒していましたので、しっかりとスピンをかけられる技術、マネジメント、パッティングと総合力が求められる展開になるでしょう。来週は笹生優花選手も出場しますので日本勢は4名を中心に引き続きレポートをお届けします。

写真/中村修

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