構造、新素材の導入、飛距離への追求……ドライバーの進化にはいつも驚かされるが、もっとも進化したクラブと言えばじつはアイアンなのかもしれない。
キャロウェイのニューモデル「ローグ ST」シリーズのアイアンは形状が異なれど、共通のテクノロジーが搭載されている。
まずはAIが設計した「FLASHフェースSS22」。初速の向上と各アイアンのターゲットとなるゴルファーの打点位置にスウィートエリアを合わせるのはもちろんのこと、初速、打ち出し角、バックスピン量、飛びの3要素までも最適化するように新しいアルゴリズムによってAIが設計し、コンピュータ内でテスト。よりゴルファーにマッチするものに作り上げられている。
さらに使われている素材は「カーペンター450」。これまで使われていた「17-4ステンレス」に比べて強度、反発性ともに高く、初速がアップする。
そして最近のキャロウェイのアイアンの真骨頂ともいえる複合素材方式。トウ側のソールに近い位置には「プレシジョン・タングステンウェイト」を装着。ミスヒット時にも飛距離が落ちにくく、ボールも上がってくれる。
フェースの裏には「ウレタン・マイクロスフィア」。これまでも搭載されていたが、その量を増量。芯はもちろん芯を外してもソフトないい打感を味わうことができる。
さて、実際にモデル別に比較テストをしてみることにしよう。小暮博則プロが3モデルを試打し、弾道測定器「トラックマン」でデータを測定した。
まずは「ローグ ST PRO」アイアンから。
「クラブを持ってまず思うのは、非常にバランスがいいこと。軽く振ってみてもヘッドが自然にターンしやすく、ボールをつかまえるような動きをしてくれますね。そしてトウ側のミスに強い。マッスルバック系のアイアンはヒール寄りに芯があるため、少しでもトウ側に打点がズレると、フェースが開くような方向に動き、弾道が弱々しくなります。プロはペラっとくる、なんて言い方をしますが、ペラっとこない」(小暮プロ)
これはトウ側ソール下部の「プレシジョン・タングステンウェイト」の効果が大きい。トウ側のミスでもブレにくく、ボールを飛ばしてくれる。
じつは「ローグ ST PRO」アイアン、ほかのシリーズのモデルとは違い中空構造。
「シャープでコンパクトなヘッドは言われなければ中空とはわかりませんね。操作性も高く、ドロー、フェードの打ち分けもできますよ」(小暮プロ)
次に打ったのは「ローグST MAX」。キャビティバックでストロングロフトのモデルだ。
「7番でキャリー170ヤード! 飛びますね。ヘッドはより低重心に感じられて、グースでロフトが立っているのにも関わらず、ボールが上がりやすくなっているので飛びますよ」(小暮プロ)
これは飛びの3要素までAIがシュミレーションした「FLASHフェースSS22」の効果が大きい。最適なスピン、打ち出し角、ボール初速でアイアンといえども飛距離を伸ばしてくれる。
「このアイアンは飛びに加えて曲がらないので、最高のクラブ。ヘッドは利いていてクラブの先端が重く感じるので軌道がすごく安定しますね。スウィング軌道をよくする効果もありそうです(小暮プロ)
最後はシリーズのなかで、もっとも軽量でストロングロフトの「ローグST MAX FAST」
「振りやすいですね。ヘッドの重さが感じやすくてビュンビュン振れます。そのせいかヘッドスピードは上がります。キャリーもトータルも飛距離は出ますね」(小暮プロ)
軽量化されたヘッド重量を生かすには、しっかりと振り切っていくこと。速くなったヘッドスピードは、インパクトでボールスピードへと変換される。
「見た目はグースが利いている感じで、アドレスしたときからボールがつかまるイメージとダウンブローに打つイメージが出ていて、ロフトを立ててインパクトできます。低重心でボールは上がりやすく、飛距離性能は高いですよ」(小暮プロ)
協力/トラックマンショールーム 撮影/三木嵩徳