開催が間近に迫った海外メジャー・マスターズ。その舞台となるオーガスタナショナルGCのなかでも“世界一有名なパー3”ともいわれる12番ホールがなぜ難しいのか、それに対してプロたちはどんなマネジメントで対応しているのかを、プロゴルファー・兼濱開人に詳しく教えてもらおう。

マスターズの開催コース「オーガスタナショナルGC」、そのなかでも“世界一有名なパー3”との呼び声が高いのが12番ホール、155ヤードのパー3だ。

その理由は多くのトッププロたちを苦しめてきた屈指の難易度にある。過去にもジョーダン・スピースが同ホールで池ポチャを繰り返し7打(2016年大会)、タイガー・ウッズも10打を叩いてしまう(2020年大会)ほど、シビアなのだ。

画像: ティーイングエリアから見たオーガスタナショナルGC10番ホール

ティーイングエリアから見たオーガスタナショナルGC10番ホール

ではいったい12番ホールのどこが選手たちを苦しめているのか。兼濱は1つ目の理由として「グリーンの縦幅が狭い」点を挙げる。

「12番ホールはティーイングエリアに対してグリーンが斜めに傾いたレダンスタイルのホールで、その傾き度合いも鈍角です。つまり、グリーンエッジから奥までの縦の幅が狭いんです」(兼濱、以下同)

加えて、コースに配された障害物の数も多い。グリーン手前にはクリークが流れていて「グリーン手前の右サイド側に落ちてしまうと、傾斜に流されてほぼ確実に池ポチャですね」と兼濱。また、バンカーもグリーン手前に1つ、グリーン奥に2つ配置されており「グリーン奥に外すと次打のアプローチの難易度も高まります」という。

そして2つ目の大きな理由は「プロでも読み切れないほど風が吹いている」という点だ。

「12番ホールはヤーデージだけを見れば155ヤードと、トッププロならウェッジや9番アイアンで悠々とグリーンオンできるくらいのパー3なわけですが、強い風が吹いているので高さを出してグリーンで止まるようなショットを打つことが難しいんです。では風に対応するためにはどうすればいいかと言うと、低い球で攻めるのがセオリーですよね。すると今度は縦幅が狭いのでグリーンで止められる球を打つことが非常に難しくなってしまうわけです」

そもそも狙いどころが狭いのにグリーンでしっかり止まるショットを打つことも難しい、しかも風を読み切らないと池ポチャしてしまったり、次打が厳しくなるエリアに捕まってしまう危険もある。だからこそ12番は短い距離なのに難易度が非常に高いというわけだ。

ではトッププロたちはこのホールをどう攻略しているのか。結論から言うと「グリーンセンターを狙う選手が多いです」と兼濱は言う。

「持ち球によって攻め方を変えるのではなく『12番はセンター狙い』と決めている選手が多い印象です。そもそも風が吹いているのでプロでもピンを狙えるホールではないのと、マスターズのピンポジは、例えば4日目ならグリーン右サイド、といったように大体のエリアが決まっていますので、まずはセンターに乗せて2打目のパットでラインを上手く合わせて寄せていき、パーを獲っていくのが定石になっていますね」

つまり、トッププロたちの技術をもってしてもセンターを狙わないとリスクが高いと判断するくらい、12番は曲者ホールというわけだ。観戦の際は、上記のコース設計とプロたちのマネジメントを念頭に置いて観てみるといいだろう。

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