西郷は3打リードで迎えた最終18番のティーショットを右に曲げ、まさかのOB。ダブルボギーでのフィニッシュで終わってみれば、1打差での優勝となった。追い上げも一歩及ばず、2位となった堀琴音は優勝を含め、4試合続けてのトップ5入り。さらに1打差の3位タイに入った菅沼は3試合連続のトップ10入り、ぺ・ソンウは前の週に続いての3位と、直近で好調だった選手がそのまま上位を占める結果となった。
そんななか、ホールアウト直後に涙を見せていたのが菅沼だった。10、11番の連続バーディーで1打差まで迫りながら、残る7ホールで4ボギーと失速。「途中までいい感じだったのに最後の方でどんどん落ちて行っちゃったので悔しいです」。3日目に右の林に打ち込んだ悪いイメージを払拭できず、逆に左に曲げた14番のティーショットをキーポイントに挙げた。
まだ菅沼がプロになったばかりのころ、両親から娘が泣いた話を聞いたことがある。その時の理由は用事が長引き、後に予定していた“推し“のアイドルのコンサートに間に合わなくなったから。「うちの子、こんなことで泣いたんですよ」。そんな雰囲気で呆れたように明かしてくれたエピソードだった。
本人の記憶では、この日流した涙はそれ以来のこと。これまでになく優勝に近づいた手応え、それを自らのミスで逃した悔しさ、そして、ゴルフへの思いがより強くなってきたからこそ、ホールアウトともに涙があふれたのだろう。
閉ざされた場所などで大きな不安を感じる広場恐怖症のため、飛行機や船、新幹線での移動ができない。今季も沖縄での開幕戦は欠場となったが、当面は移動可能なエリアでの試合が続く。現在の好調を途切れさせる心配はなさそうだ
高校はゴルフの名門・埼玉栄。次戦は埼玉での開催とあって「知り合いの方もいっぱい来てくれるので初優勝を目指して頑張りたいです」と意気込む。アイドル好きは変わっていないが、ゴルフでも泣くようになった菅沼が次は嬉し涙を見せてくれることを期待したい。