ゴルフはメンタルも重要なスポーツ。そう聞くとメンタルを強くする方法を求めがちだが「そうではなく、『プレーに必要のない余計な思考』を手放すことが重要なんです」というのは、プロも教えるメンタルコーチ・池努。詳しく話を聞いてみよう。

メンタルは強化するより捨てること

「ゴルフはメンタルスポーツだ」という言葉から、多くのゴルファーは「メンタルを強くしなければならない」という印象を持ちます。あなたはメンタルを強くする手法とはどんなイメージを持ちますか? 新しいマインドセット(考え方)を持つ、自己対話を変える、目標設定を変える、プレー前のルーティンを決めるなどいろいろなイメージがあると思います。

ちなみに数多くの競技ゴルファーのメンタルコーチとして「ゴルフのメンタルを強化するとは何か? ひと言で言うと?」と問われれば、「手放すこと」だと答えます。ゴルフメンタルでいちばん重要な要素は「プレーに必要のない思考を手放すこと」なのです。

画像: 「ミスしたくない」「結果を出したい」……。プレーに必要ない、余計な思考がプレッシャーにつながってしまうと池氏は言う

「ミスしたくない」「結果を出したい」……。プレーに必要ない、余計な思考がプレッシャーにつながってしまうと池氏は言う

気負うという言葉があります。読んで字のごとくいろいろな「気」を「背負う」ということです。エンジョイでのゴルフでの競技でのゴルフでもゴルファーはいろいろな気を背負っています。ゴルファーは何を背負っているのでしょうか。気心知れたエンジョイのゴルフと緊張感のあるコンペ。競技ゴルファーであれば練習ラウンドと公式試合で背負う気持ちが違ってきます。

上記の後者どちらも「結果を出したい」「勝ちたい」「他者からよい評価を得たい」「失敗をしたくない」「ミスは連続させてはいけない」と余計な「気」を背負います。人は集中するためには適度なプレッシャーは必要ですが、当然過緊張になるような大きなプレッシャーはパフォーマンスを下げます。メンタルトレーニングではその余分なプレッシャーにつながる「気」を手放すことが重要なのです。

そのため、メンタルトレーニングは冒頭にあげたように新しいスキルを付け加えるのではなく、まずはそぎ落とす、手放す作業が大切です。私は緊張するコンペや試合では次の3つの思考を手放す必要があるとゴルファーには伝えています。

まず一つ目が「ミスしてはいけないという思考を減らす」ことです。確かに本番ではミスはしたくありませんし、ミスをしないために練習を積んでいます。しかし、試合本番では18ホールの中でミスは出ますよね。「なんでミスするんだよ。気をつけていたのに。練習たくさんしたのに」と憤りを感じるものです。

そして、また別のホールで同じようなプレーがあったときに「またミスをしたらどうしよう」と思考することで余分なプレッシャーやミスイメージがスウィングに影響してしまいます。ここで「ミスはしてはいけない」と考えるのではなく、「ミスはあるもの」「ミスは〇個までは許す」と本番でこそ、許容範囲を広げることでミスへの思考を減らす、手放すことにつながります。

二つ目がスコアや結果への思考を減らすことです。本番のラウンドでこそ、練習の成果を出しいいスコアを出し、いい順位という結果を出したいものです。そして、結果を出したい試合になればなるほど緊張や不安などのプレッシャーが生まれます。

思い入れが強く成ればなるほど自分でプレッシャーを生み出し、そして、途中のプレーが思うようにいかなければ「今日は結果がでないかも」「後半で取り返さないとやばい」と自分を追い込むことで目の前のワンプレーに対して「どうプレーするか」には関係ない結果への思考が多くなります。

結論、「結果を出したい、いいスコアを出したい」という考えを手放し、「目の前のワンプレーをやりきる。そしてそれが結果になるだけ」というようなシンプルな考えを切り替えることをおすすめします。

当たり前ですがゴルファーがハイパフォーマンスを出すには1ホール、そして、目の前のワンプレーに集中する、終われば次のプレーに集中するというプロセスを繰り返していくことが重要ですよね。このプロセスを邪魔するのが今回紹介した「ミスはしてはいけない」「試合では結果が大事だ」という思考です。これらを手放すことがゴルフのメンタルトレーニングでは重要ですね。

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