今季も、米ツアーを主戦場に安定した成績を残している畑岡奈紗選手。その持ち味は、体幹の強さを感じさせるスウィングにあります。
彼女を初めて見たのは、高校1年生の頃だったと思います。当時、彼女はすでに5番アイアンでキャリー185Yのショットを打っていました。
女子選手の場合、7番で160Yを打てる選手は結構いますが、その上の番手になると、なかなか高さとキャリーを出せなくなるものです。しかし、彼女はきっちりと高さを出しつつ、番手ごとのキャ
リー差を出していたのです。そのパワーを見て、「これは、すごい選手が出てきたぞ」と思ったものです。
さて、そんな畑岡選手ですが、デビュー当時にはシャフトがクロス(シャフトが目標の右を指す)していたトップが、現在はパラレル(シャフトがターゲットラインと平行)に収まり、よりシンプルな動きになっています。
ダウンスウィングからインパクトにかけて、少しジャンプをして伸び上がるような動きが見られますが、これは決して背が高くない彼女がパワーを引き出すための動作で、彼女にとってはこれがいちばん力を出しやすい方法なのでしょう。
その場で体をコマのように回転させつつ、(ジャンプするような動きによって)力をタテに使ってクラブをタテに振る。それが畑岡選手の特徴と言えるでしょう。
近年、女子ツアーにおいても、体をダイナミックに使い(重心を上下動させて)、地面反力を利用して打つスウィングが注目されています。
ただ、このようなスウィングは確実にスピードアップするものの、練習量が少ないプレーヤーが取り入れると、ミート率が低下しやすい傾向があります。
そういう意味で言うと、畑岡選手のように、体の運動量を控えめにしてクラブワークで打つスウィングは、アマチュアのみなさんにも参考になると思います。軸をしっかり保ち、頭の動きを抑えて、
クラブに仕事をさせる。そういう部分を感じ取ってもらえるとよいのではないでしょうか。
写真/KJR