ラウンドしていると、とてつもなくいいショットが出たり、かと思えばあり得ない不運があったりと、じつにさまざまな「事件」が起こるものです。想定外のことが起こると大抵、その後にまたさらさらなる事件がコースでは起きます。
たとえば、思いがけず長いパットが決まってバーディー! 次のホールでオナー、気持ちが昂ぶったままショットしてOB連発してゲーム崩壊……。はたまた、入ったと思ったショートパットが、運悪く小石にはねられてボギー。そのショックを引きずったまま、負のスパイラルから抜け出せなくなる。
いい結果、悪い結果どちらの場合も、それが原因で起こった自分の気持ちの変化に翻弄される。ゴルファーならだれでも経験していることでしょう。そうした「事件」に惑わされず、自分のペースでプレーを続けていくためにはどうしたらいいのでしょう?
まずはゴルフというゲームの大前提を改めて考えてみましょう。大切な原則は「あるがまま」ということ。これだけ広大なフィールドで、コース内には池や林、バンカー、ブッシュと、さまざまな障害があるうえ、雨や突風、雑音、同伴プレーヤーのくしゃみ、いろんな状況に対応しなければなりません。
ボールの置かれた状態だけではなく、そうしたすべてを含めた「あるがまま」なのです。プレーヤーがコントロールできない領域がじつに多く、不確実、不安定、時には「そりゃないよ」と言いたくなるような不合理、理不尽ともいえる状況が出現し、それに黙って対処していくのがゴルフの本質であり醍醐味とも言えます。
そう考えていくとパーやボギーといったスコア(結果)というものが、いかに不確実なものかということに気づくのではないでしょうか?
目標のスコアを設定するのは悪いことではありませんが、スコアという不確実なもの、自分でコントロールできないものに振り回されて自分を見失っていては、とても満足なプレーは出来ません。プレー中は自分でコントロールできるものだけにフォーカスする。これが安定したプレーのために何より大切なのです。
そうは言っても悪いスコアが続けば精神的にもストレスが溜まりますし、その流れから抜け出すのは簡単なことではありません。悪い流れに陥った時、みなさんはどう対処されていますか?
私自身が気をつけているのは、「流れに抗わない」ことです。
一気にいい流れに逆転させる、というのは無理がありますし、かえって傷を深くしてしまう可能性があります。ですから「おとなしくやり過ごす」ようにしています。数ホールかけて態勢を整え、じっと我慢をして流れが変わるのを待つのです。具体的には以下のようなことを考えて、「やり過ごす」ようにしています。
【1】コースを堅実に攻める
悪い流れのときほど、挽回しようという気持ちが勝ってしまって強引なルートを選択してしまいがちです。焦らず堅実なルートを選び、丁寧なプレーを心掛ける。先日のマスターズを観ても、「大事なボギーパット」が沢山ありましたね。こうした我慢を続けていくといい流れが向こうからやって来ることが多いです。
【2】普段のスウィングを取り戻す
普段練習で気を付けているポイントを思い出し、それがどれくらいできているかをチェックすることで、結果ではなくプロセスに意識を向けることができます。苦しくてもショットの結果ではなく、自分のチェックポイントにこだわる。そうしていくうちに動きもよくなり、回復のきっかけを見出せるようになります。
【3】ルーティーンを整える
たとえ心の中では動揺していてもそれを表情に出さないこと。声にも出さない。下を向いて歩かない。歩くリズムも一定に。いつも通りのルーティーンを意識する。ボールを打つ以外の所作、ルーティーンを整えることで、プレー内容も整ってきます。
【4】それでもなかなか流れが変わらないときは?
もう気分転換、しかないです。飲み物、食べ物、ガムなど、何かを口にして尖った神経を和らげる。歌を口ずさむ。ボールやグローブなどを取り換えてみる。ゴルフをプレー出来ている、そのこと自体に感謝してみる。不条理を体験するのが、ゴルフなんだと言い聞かせる。
負のスパイラルからの脱出。皆さん自分なりの対処法を見つけて、タフなゴルファーを目指してください。