「KKT杯バンテリンレディスオープン」の最終日、首位の西村優菜から1打差でスタートした植竹希望が6ホールのプレーオフを制し初優勝を飾った。最後まで粘り強く戦ったそのスウィングをプロゴルファー・中村修が解説。

20-21シーズンで注目の選手として何度か記事でも取り上げていましたが、植竹希望選手がとうとう初優勝を飾りました。プロキャディたちの前評判が高く、ネクストヒロインの候補に早くから上がっていましたので注目していましたが、その理由はコンパクトなバックスウィングから放たれる正確なショット力。今大会のスタッツを見てもFWキープ率30/42(5位タイ)、パーオン率41/54(2位タイ)と正確で安定感のあるショットが光っていました。

画像: 6ホールのプレーオフを制し黄金世代10人目の優勝者となった植竹希望(写真/姉崎正)

6ホールのプレーオフを制し黄金世代10人目の優勝者となった植竹希望(写真/姉崎正)

以前の週刊ゴルフダイジェストの取材では、その正確なショットの秘訣はティーを両わきに挟む練習ドリルにあると話していました。タオルを挟むドリルはよくありますが、よほどしっかり挟まないと落ちてしまうティーを使って練習ドリルをすることでわきの締まったゆるみのないスウィングを手に入れたのです。

画像: ティーを両わきに挟んで打つ練習ドリルでわきの締まったゆるみのないスウィングを手に入れた(写真/岩村一男)

ティーを両わきに挟んで打つ練習ドリルでわきの締まったゆるみのないスウィングを手に入れた(写真/岩村一男)

体の回転量に対して腕の動く割合を少なくするためには、体の体幹部の捻転が必要になり柔軟性とねじり戻す体幹部の強さが要求されます。しっかりとトレーニングを積み重ねてきたことで、あれだけコンパクトなトップからでも今大会平均飛距離243ヤードと必要にしてじゅうぶんな飛距離を出せています。

アイアンショットの後方写真を見てみると、トップでの右ひじは地面を向き、左わきも内側に絞られていて胸の前から手元が外れず、テークバックで体幹部のねじれもしっかりしています。手元が体から遠く、その距離をキープしたまま体幹部のねじり戻しで下ろしてくるので、ダウンスウィングの半径が大きくなり入射角は緩やかでシャローでインサイドからの軌道になっています(画像A)。

画像: 画像A 手元が体から遠くその距離をキープしながら下ろすことで、ダウンスウィングの半径が大きくなることでスピードを上げられ入射角もシャローになる(写真/姉崎正)

画像A 手元が体から遠くその距離をキープしながら下ろすことで、ダウンスウィングの半径が大きくなることでスピードを上げられ入射角もシャローになる(写真/姉崎正)

画像Bからは手元の低さがわかりますね。アドレス時のシャフトの角度とインパクト時のシャフトの角度がほとんど変わらないトウダウンの少ないスウィングです。インパクト時の体幹部の回転量も大きく、フェース面でボールを押し込むようなインパクトゾーンが実現できています。

画像: 画像B フラットでシャローなスウィングプレーンでシャフトの角度はアドレス時とほとんど変わらないインパクトを迎える(写真/姉崎正)

画像B フラットでシャローなスウィングプレーンでシャフトの角度はアドレス時とほとんど変わらないインパクトを迎える(写真/姉崎正)

もちろんアップライトなスウィングタイプで活躍する選手もいますし、フラットでシャローな選手もいます。どちらが正解というのではなく、プレッシャーの中で再現性が高くしっかりと力を加えられる自分にとって正解のスウィングを身に着けることが重要です。植竹選手の場合は、フラットでシャローなスウィングを身に着け磨き上げたことで、6ホールに及ぶプレーオフでもブレることなく初優勝をつかみ取ることができました。

優勝後にプレースタイルについて尋ねると、「優勝争いをしているときこそ攻めはしますが、堅くその先の可能性のあるゴルフをしたいです」と本戦の54ホール目の18番ホールで2オンを狙わずに3打目勝負に徹したマネジメントが垣間見えます。ホールやピン位置から逆算するマネジメントもしっかりと考えらえていることも高いFWキープ率やパーオン率にも結び付いていると思います。

「パターで稼げる選手なりたい」とパッティングの向上を挙げ2勝目に向かいます。海外志向もありますので先が楽しみな選手がヒロインがまた一人誕生しました。引き続き注目していきましょう。

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