この2つのモデルは、ラインナップの中でバックスピン量が少なく設計されたモデルであるため重心がフェースよりの低い位置に寄せてあるモデルだ。「ステルスプラス」に関してはフェースよりに可変式ウェートの装着でつかまり度合いを調整できる機能が特徴だ。
プロゴルファーでTPIレベル3、タイトリストフィッティングスペシャリスト、トラックマンマスターという3つの肩書きをもつ三刀流プロ・小島慶太プロにトラックマンを使って試打しそれぞれの特徴とマッチするゴルファーを教えてもらった。
長さを比較すると「ステルスプラス」は45.75インチ、「ローグ ST MAX LS」は45.5インチとわずかに「ステルスプラス」のほうが長い。しかし、バランスは「ステルスプラス」はD3、「ローグ ST MAX LS」はD4とやや重めになっている。シャフトはどちらも純正の三菱テンセイの50グラム台だが専用にチューニングされた仕様で同じものではない。残念ながらメーカーから借りた試打クラブは、ステルスプラスは10.5度、ローグST MAX LSは9度とロフト角の違いがあったことは記載しておく。それぞれ3球打ってトラックマンで計測し平均のデータは下記のようになった。
ステルスプラス ローグ ST MAX LS
ヘッドスピード 48.2m/s 47.1m/s
初速 71.1m/s 70.2m/s
打出し角 14.1度 14度
弾道高さ 36・8ヤード 34.1ヤード
キャリー 273.8ヤード 269.6ヤード
総飛距離 295.8ヤード 294.2ヤード
ほぼ変わらない数値が出たが弾道の高さやキャリーの違いは「ステルスプラス」のロフト角が10.5度だったことに起因するであろう。打ち比べてみた印象を聞いてみた。
「シャフトは同じテンセイですが『ローグ ST MAX LS』のほうが少ししなりを感じました。しなり過ぎるとみぎにシャフトがしなる戻る前にインパクトを迎えて右に飛ぶことがありますが、そこまででなく思ったよりもつかまえてくれる、粘りを感じながらもしっかりしていると感じました」
もう一つ小島が感じたのは打ち比べた際のヘッドスピードの違いについて。
「『ステルスプラス』は振りやすかったせいかわずかですがヘッドスピードが速く出ました。長さやバランス、それとフェースよりの重心位置との相性がよかったのかなと思います。45.75インチという長さを感じさせない振り心地でした」
ヘッドのもつ特性については、どちらのモデルもスピンの少なさを挙げる。
「70m/sを越えるボール初速で何球も打ちましたが、一度も3000rpmを越えることはどちらのヘッドでもありませんでした。当然曲がりの幅も少なく直進性も高いということも感じました。スピン量が少ないと高さは出にくいのですが、打ち出しの高さを確保しつつスピン量をおさえることができています。飛ばしのポテンシャルが高いヘッドだといえます」
打感はステルスプラスのほうが軟らかく感じると小島。「ローグ ST MAX LS」は「ステルスプラス」に比べると弾き感を感じるが、不快な弾き感ではなく好みの領域になるという。
ヘッドスピード帯は45m/s前後になるヘッドとシャフトの組み合わせになりというが、たとえば原英莉花は「ローグ ST MAX LS」、鶴岡果恋は「ステルスプラス」を投入していることからも組み合わるシャフトや長さやロフト角次第で低スピンの特性を生かしたクラブに仕上げることもできそうだ。ちなみにダスティン・ジョンソンは10.5度のヘッドをネック調整機能で少し寝かせて使っているから、一概にヘッドスピードでロフトを選ぶことなく計測器のあるショップなどで試打をするか実際にコースで試してみることが大切だろう。
「ステルスプラス」の持つ可変式ウェートを動かしながら数球打ってもらうとその効果はしっかりと違いが出たと小島。
「ウェート可変させて打ってみると違いがハッキリ出ました。少しドローポジションにすると球が逃げてしまうケースにはおススメできます。フェードポジションに関しては、重心が遠く長くなるので飛ぶ要素が出てきます。当たり負けもしなくなりますしね。ただ、ヒール側で打ちやすい人には重心位置と打点がずれるのでおススメしませんが、トウ側で打ちやすい人が試してみるのは面白いと思います」
2つのモデルを打ち比べた結果、ヘッドのもつ特性は低スピンで打ち出しが高く直進性も高い、飛距離が期待できる性能を持ち合わせていることがわかった。違う点は、シャフトの特性による振り心地、可変式ウェート装着による調整範囲の広さと打感、そして見た目のフォルムの違いは感じられた。
最後に球のつかまりはネック調整機能を使ってアップライトやフラットにすることでも変えられるし、ロフト角を調整することでも変わってくるだろう。いずれにしてもクラブの持つ特性を引き出し自分の持ち球やスウィングに合わせる微調整をすることで自分に合ったクラブに仕上げていくことができそうだ。