「ISPS HANDA 欧州・日本、とりあえず今年は日本トーナメント! 2022」の最終日、首位から出た桂川有人が追位上げる大西魁斗、星野陸也を退け初優勝を挙げた。プロゴルファー・中村修がそのスウィングを解説。

桂川有人選手は、学生時代から結果を残しプロ転向後の昨季も出場したレギュラーツアー8試合のすべてで予選通過、AbemaTVツアーでは1勝を含めて賞金ランク3位と着実に実績を残してきました。そして今年1月のシンガポールオープンでは2位に入り「全英オープン」の出場権を獲得、国内開幕戦の「東建ホームメイトカップ」ではプレーオフで香妻陣一朗敗れはしたものの2位とその実力を遺憾なく発揮し、存在感を示していました。そして今大会で早くも初優勝と、今季の活躍が大いに期待される選手です。

画像: 23歳の桂川有人がツアー初優勝を挙げた(写真は2022年のISPS HANDA 欧州・日本、とりあえず今年は日本トーナメント! 2022 写真/岡沢裕行)

23歳の桂川有人がツアー初優勝を挙げた(写真は2022年のISPS HANDA 欧州・日本、とりあえず今年は日本トーナメント! 2022 写真/岡沢裕行)

プレースタイルは、167センチと小柄ながら今大会の4日間の平均飛距離は287.75ヤードで19位。フェアウェイキープ率85.714%で3位タイ、パーオン率88.889%で1位とドライバー、アイアンともに非常に安定感のあるショットメーカーです。

優勝争いの終盤では16番パー5で3パットのボギーとし、星野陸也選手に並ばれる場面もありましたが17番のパー3でバーディを奪い突き放します。現地でプレーを見た限りでは、心技体が高いレベルでコントロールされていて、最後まで崩れないゴルフをする選手だと感じました。

そのスウィングはオーソドックスで癖のないスウィングです。グリップもアドレスも基本通り、両肩と手元で作る三角形が崩れず、体と腕を使う運動量のバランスが非常にいい打ち方をします。テークバックで下半身に張りを持たせ、下半身から背中にかけての大きな筋肉を引き延ばし、筋肉の伸張反射を使って下半身主導でダウンスウィングしています。

画像: 両肩と手元で作る三角形が崩れないオーソドックスで癖のない桂川有人のスウィング

両肩と手元で作る三角形が崩れないオーソドックスで癖のない桂川有人のスウィング

ゆるませた反動を使って打つようなスウィングではないことも、年間を通した安定感につながっていることでしょう。パッティングやアプローチのショートゲームも安定していてそつがなくオールラウンドにレベルの高いプレーを見せました。

高校時代をフィリピンで過ごしゴルフに集中したことで、言葉や芝、環境や気候などに対する対応力も身に着けています。海外志向も強いので持ち前のショット力を生かしてどんどん海外に挑戦する姿を見せて欲しいところです。体はこれから大きくなってくるでしょうから、数年先には現在の安定感に飛距離がプラスされ非常に楽しみな選手になってくるのではないでしょうか。

そして、大会を盛り上げた同い年のルーキー大西魁斗選手も13番、14番とスコアを崩しましたが16番、18番でバーディを奪い、最後まで戦い抜き実力の片鱗をアピールしました。
そしてもう一人、開幕戦から3位、2位、2位と好調を維持していた25歳で5勝を誇る星野陸也選手は、最終ホールのバーディを決めれば首位タイというプレーで最後まで試合を盛り上げました。惜しくも2位と地元優勝はなりませんでしたが今季は賞金王、世界ランク50位以内という高い目標も見据えてのシーズンになることでしょう。

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