2015年に初代が登場して以来、プロアマ問わず人気を誇っているピンの「グライド」シリーズが、2019年発売の現行モデル「グライド3.0」から約2年半振りのアップデートを果たし、「グライド4.0」として5月13日に発売を控えている。
「前作の性能を超えなければニューモデルは発売しない」というピンが送り出すだけあり、各部が進化している。まずフェース面に関しては表面をあえて粗目にした「エメリーブラスト仕上げ」を採用。これにより摩擦力が増し、スピン性能が高まっている。また、フェースの溝の間隔や角度も番手別に設計し、スピン量が最適になるよう設計されている。
そして前作でもキャビティ部に採用されていたインパクト時の振動を抑える樹脂素材エラストマーCTPを約36%拡大。これにより、打感・打音の心地よさを向上しつつ、重心を周辺に配分する構造も実現し、寛容性も高まっているという。ソール形状も「Sグラインド」、「EYE2グラインド」、「Wグラインド」、「Tグラインド」の全4種がラインナップされている。
ではその性能はいかほどか。プロゴルファー・堀口宜篤にさっそく試打して確かめてもらおう。まず打ってもらったのはロフト58度・バウンス10度の「Sグラインド」モデル。構えた印象はどうだろうか。
「クラシカルなティアドロップ形状で、ソールがピタッと隙間なく地面に合ってくれて構えやすいですね。コンパクトながらヘッド上部もちょっと厚みを持たせていて、重心位置が下がり過ぎていないように感じます。あと、キャビティ部のエラストマーは触ってわかるくらい軟らかいですね」(堀口、以下同)
ではさっそく試打データの平均値を見てみよう。
【堀口のグライド4.0ウェッジ(58度、Sグラインド)の試打結果】
スピン量9697.3回転 キャリー78Yトータル80Y 打ち出し角31.1度
「ヘッド素材がカーボンスチールなのでもともと軟らかめですが、さらにエラストマーも効いているのか、かなり打感が軟らかいですね。スピン性能も申し分なくて、高さを出しても、低く抑えた打ち方でもしっかりかかってくれます。それだけフェースの溝の性能が安定しているのだと思います。いろんな距離も打ってみましたが10ヤードでも5000回転ほど入りましたね」
「Sグラインド」のソール形状に関しても「操作性はいいですね」と堀口は続ける。
「抜けも半端なくよくて、操作性も高いです。『Sグラインド』は4つのソール形状の中でもスタンダードで、幅広いライに対応できそう。単品ウェッジとしての完成度が高いですね」
続いて、「Sグラインド」以外の3種のソール形状のモデルについても堀口に試打を行ってもらった。インプレッションをまとめて聞いてみよう。
「『EYE2グラインド』はその名の通り名器を継承したハイトウ形状。ヘッド形状自体も変わっていて、フェース面トウ側が出っ張っているので、斜めにボールを滑らすように使いやすいですね。グースもあってボールを包んでくれる感じで打てて、オートマチックさも感じつつ、バウンスが8度なので操作性もあります。
『Wグラインド』はワイドソールでバウンスも14度と多め。オートマチック寄りで、寛容性も高く、インパクトで少し力が入っても滑ってくれそうですね。シンプルにボディターンで打っていくゴルファーに合いそうです。
そして『Tグラインド』はバウンスが6度と少なめで、そのぶん操作性が高くアプローチで技術を出していけるゴルファーにオススメできそうです」
ヘッド性能とソールのバリエーションに加え、さらに興味深いのがライ角もカスタムフィッティングで+5度~-4度までの調整可能な点。ライ角調整のサービス自体はウェッジに限らずアイアンでも以前より提供されていたが「より前面に押し出されている感じがしますね」と堀口。
先ほどまで試打していたニュートラルなライ角のモデルに加え4度フラット、3度アップライトに調整した「Sグラインド」モデルもそれぞれフルショットで打ってもらうと「やはり全然変わりますね」という。
「フラットなモデルだと引っかかる感じがなくて、個人的にはニュートラルなモデルより打ちやすいですね。引っかからないのがわかっているぶん振り切れるので、スピンもかかりやすいように感じます。一方アップライトなモデルは、ニュートラルなモデルと同じように打っても少しつかまってくれますね。当たり前ですが、ライ角はかなり大事で、とくにウェッジは如実に変わりますから、自分に合ったモデルを気軽に選べるのもピンのウェッジの魅力のひとつと言えるでしょう」
スピン性能の高さとソール、ライ角のバリエーションによって、より自分に最適なモデルを選べるのは「グライド4.0」の大きなメリット。もし買い替えを検討しているなら、ソールだけでなく、ぜひライ角にもこだわってみると良いだろう。
協力/PGST