――練習場の後方から、スマホなどで自分のスウィングを撮ったものの、スウィング中のどの部分をどう見ればいいのか分からないという人は多いだろう。そこで合田と卯木の二人が、自分のスウィング動画を見る時のチェックポイントを教えてくれた。
合田:俺たちの若い頃はスマホなんてなかったからね。だから自分のスウィングって、22歳の頃ある試合で優勝した時、テレビの映像で初めて見たんだからね。卯木さんはどう?
卯木:いやぁ、僕は自分ではスウィングは撮らないですからね。
合田:あ、そう。球筋が先生なんだな。
卯木:いい球が出たらそれがいいスウィングだったと納得するって感じでしたよね。
合田:アンタも昭和の古いタイプのプロだよね(笑)。
――ここからは、卯木をモデルとして合田が自撮りスウィングのどの部分をどう見るべきか、そのチェックポイントを教授する。動画は一般の練習場での撮影を想定して、後方からの映像とする。撮影するカメラの設定位置は、基本は額にフォーカスし、その後方線上から撮影する。高さは腰の高さくらいでOKだ。
合田:最初のチェックポイント【1】は、バックスウィングでクラブが水平に位置に来るハーフウェイバックの時のクラブヘッドのポジションです。この時に手元よりもヘッドが内側に入っている人が多いけど、これはダメ。後方から見てヘッドと手元が重なっている状態ならOK。そして、上級者になってくると手元よりもヘッドが外側にあります。以上がハーフウェイバックでのチェックポイントです。
卯木:一般のアマチュアの人だったら、まずはシャフトが水平になった時にヘッドと手元が重なるようにクラブが上がるようにすればいいんですね。
合田:次のチェックポイント【2】はトップ間近で左腕が水平になったところでのシャフトの傾きです。この時に、シャフトが背中側に倒れ過ぎていたり、内側にクロスしている場合はダメで、そのちょうど中間辺りがベストでしょうね。
卯木:先ほどのハーフウェイバックの時に手元とヘッドが重なるように上がっていれば、その位置にクラブが上がってきますね。
合田:そして、このポジションの時にチェックすることがもう一つあります。それは、この時のシャフトの傾きに「マークアップ機能」などを使ってラインを入れておくことです。
そして次に、トップから切り返してきて左腕が水平になった時のシャフトが、先ほど入れたラインに対してどのポジションにあるか、これが最後のチェックポイント【3】になります。
卯木:先ほど入れたラインに対して、どの位置に下りてくればいいんですかね。
合田:先ほど入れたラインよりも下(インサイド)からクラブが下りているのが正解ですね。よく、「バックスウィングではクラブが立って上がり、ダウンスウィングの時は寝て下りてくる」というのがいいクラブの挙動だと言われます。この動きができていればインパクトでややシャローにクラブが入ってくるので、球をゾーンで捉えられて、つかまった球が打てるということです。
卯木:でも、アマチュアの方はバックスウィングで描いたラインよりも上(アウトサイド)からクラブが入ってくることが多いですよね。そうなるとインパクトはカット軌道になって球がつかまらなくなります。
合田:そう。じつは、このチェックポイント【3】でクラブがアウトサイドから下りてくるには、最初チェックポイント【1】の時のクラブの上げ方が関係しているんです。テークバックの時にクラブをインサイドに引いてしまうとスペースが失われてしまうため、その後はクラブを急激に縦方向に上げていくことになる。そしてトップでループを描いて外からクラブが下りてくる。これがアマチュアの人が悩むアウトサイドインの典型的な軌道です。
卯木:チェックポイント【1】、【2】、【3】とは繋がりがあるわけですね。
合田:その通り。
――つかまった球を打つためには、アウトサイドに上げてインサイドから下ろしてくるスウィングが大事で、そのためのチェックポイントを3つ教えてもらったが、では最後に、このスウィングを身に付けるためのドリルを教えてもらおう。
合田:練習場のマットの上にシャフトを置いたりテープを張ってテークバックの軌道とインパクト直前のクラブの軌道を示します。これはビジュアルエクイバレンツ(視覚的等価線)というやつで、テークバックは外のライン上へッドがなぞるように上げていき、インパクト直前ではインサイドのラインをなぞるように下ろしてきます。このラインに沿ってクラブを上げ下げすることを意識することによって、アウトに上がりインから下りてくるシャローめの軌道が身につき、つかまった球が打てるようになりますよ。