3月に開催されたジャパンゴルフフェアで、あるメーカーの試打ブースにちょっとした人だかりができていた。16歳の女子高生がトラックマンで、なんと301ヤードをマークしていたからだ。長身を活かした豪快でシャープなスイングは、来場者が思わず足を止めるほどの迫力があった。
その女子高生が、先だって行われた全米女子オープン日本予選で、並みいるプロたちに混じって本戦への出場権を獲得したアマチュアの馬場咲希だった。彼女は、4月頭に行われたヤマハレディースオープン葛城で、主催者推薦選考会(マンデートーナメント)を突破して本戦に出場。悪天候の中、ベテランプロも手を焼く難コース、葛城ゴルフ倶楽部で予選を通過して4日間を戦う堂々のプレーを見せている。
ヤマハが終わった翌日には、富士フィルム・スタジオアリス女子オープンのマンデーにも出場。残念ながらこちらはカウントバックで敗退してしまったが、4日間競技の疲れを見せない伸び盛りのタフさを感じさせた。
4月25日に行われた今年の全米女子オープン日本予選は、プロ102人、アマチュア56人の計158人が出場し、シード選手である濱田茉優がトップ通過、プロテスト合格を目指す識西諭里と高木優奈が2位タイで続き、馬場は4位タイでプレーオフに進出し、見事上位6名の出場権を獲得した。この日は彼女の17歳の誕生日でもあり、自らの力で誕生祝いをつかんだ格好だ。
こうして見てみると、この1か月でつねに安定した実力を発揮できているのがわかる。今回の予選突破も決してフロックではない。たまたまその日に調子がよかったわけではないのだ。
彼女の武器は、もちろん飛距離だ。ヤマハレディース参戦時の平均ドライビングディスタンスはプロの中に混じっても3位(※4日間平均)。本人はそのドライバー飛距離を「260-270ヤードくらい」というが、まだまだ余力を残して振っているようにも見える。
そのクラブセッティングには、4番アイアンが入っているのが目を引く。200y先のグリーンに止められるというそのショットは、ショートアイアンと見紛うほどの高さで飛んでいく。現在のレギュラーツアーの選手たちの中でも、4番アイアンでこれだけの弾道を打てる選手が果たしてどれだけいるだろうか。
現在、175cmという身長は年齢的には今後もまだ少し伸びるかもしれない。好きな選手は「ネリー・コルダ選手です」と即答。国内ツアーでは脇元華と金田久美子が憧れだという。細身で背が高く、飛距離とショット力でスコアを組み立てるプレースタイルは、たしかにネリー・コルダを彷彿する。もっとも、最近の試合ではショットが思うようにいかないことがあり、その分、アプローチとパッティングが向上したという。
「海外のメジャーで優勝するのが夢なので、(まだアマチュアの)このタイミングで目標とする全米女子オープンに出場するのは良いチャンスをいただいたなと思っています。優勝目指して頑張って、しっかり予選通過して、将来の夢につながるような試合にしたいです」と話す馬場。「コルダ選手と回りたいので、頑張って上位にいってペアリングされたいです」と大舞台への意気込みを話してくれた。
その弾道でギャラリーを沸かすことの出来る稀有なスター性を持つ馬場。プロの世界でどれだけのプレーを魅せてくれるのか、今から楽しみでならない。