テーラーメイド「ステルス」シリーズと言えば、カーボンフェースを採用したドライバーが大きな話題となり、多くのプロたちがバッグに入れる2022年の最新モデル。では、2021年に発売された「SIM2」シリーズからどのような進化を遂げたのか、プロゴルファー・堀口宜篤に「ステルス」と「SIM2 MAX」をそれぞれ比較試打してもらい、確かめてみよう。
まずは「SIM2 MAX」からおさらいしてみよう。その名の通り、2020年に発売された「SIM」シリーズの正当進化とも言えるモデルで、高い空力性能を持つソール部の突起「イナーシャジェネレーター」を搭載。ボディ一体型フェースの採用、カーボンクラウンが大きくなり、ソールもフルカーボン化、さらには溶接なし、接着剤のみで組み立て可能な設計となったことで、余剰重量を確保し低重心化がなされている。
「SIM2 MAX」 は全3モデルのラインナップのうち、直進安定性を高めた1本で、見た目については「改めて構えてみても、まったく古さを感じませんね。少しフェースが見える感じの顔で、つかまる安心感があります」と堀口。ではSIM2 MAXのロフト10.5度ヘッドと純正オリジナルシャフトのSフレックスを組み合わせたモデルでの、試打データの平均値とインプレッションを見てみよう。
【堀口のSIM2 MAXの試打結果】
HS44m/s キャリー233Y トータル254Y 打ち出し角13.5度 ボール初速63m/s スピン量2498回転
「打感が軟らかく、ピシッとくる感触が気持ちいいですね。弾道はつかまえながらも左に行きすぎず、フェード系の強い球が打てます。もちろん、もっとつかまえようと思って振れば反応してくれます。これは振り抜いていけそうなドライバーですね」(堀口、以下同)
では続いて、最新モデルの「ステルス」を見てみよう。「ステルス」シリーズも全3モデルがラインナップされており、なかでもステルスドライバーは寛容性を高めた比較的スタンダードな性能と言え、「SIM2」シリーズで言うと「SIM2 MAX」と同じポジションに当たるモデルだ。
前述したようにカーボンフェースを採用することで、初速性能がアップ。従来のカーボンフェースで問題視されていた打感・打音のフィーリングも解決しつつ、チタン製のフェースに比べ軽量なぶんフェースが大きくできるようになり、スウィートエリアも拡大。「SIM2」シリーズに搭載されていたイナーシャジェネレーターも継承されている。
見た目の印象については「『SIM2 MAX』よりもフェースがより見えるようになっていて、つかまるイメージがさらに湧きやすいですね」と堀口。ではではステルスのロフト10.5度ヘッドと純正オリジナルシャフトのSフレックスを組み合わせたモデルでの、試打データの平均値とインプレッションを見てみよう。
【堀口のステルスの試打結果】
HS46m/s キャリー243Y トータル265Y 打ち出し角11.7度 ボール初速66m/s スピン量2506回転
「フェース素材の違いもあって、同じように振ってもやはり初速がより出て球が伸びていきますね。打球音は『SIM2 MAX』より少し高めで、耳にいい感じで残る気持ちいい音です。つかまり性能に関しても、『ステルス』のほうが少し高いように感じましたが、出球が強いのでより振っていける感触ですね」
さて、「ステルス」と「SIM2 MAX」の2モデルを打ち終えた堀口。具体的な両者の違いをざっくり言うなら「よりプロモデルっぽい『SIM2 MAX』と、打っていて心地よい『ステルス』、と言った感じでしょうか」と続ける。
「まず打球音の印象が、『ステルス』は前述したように少し高めで心地よい感じ。対して『SIM2 MAX』は少しこもったような音で、よりプロモデル感がありますね。つかまりやすさ、やさしさに関しても『ステルス』に軍配が上がりますが、裏を返せば『SIM2 MAX』のほうがよりハードヒッター向けとも言えるでしょう。ただ、初速性能に関してはニューモデルの『ステルス』が文句なし。やはり進化を感じましたね」
やはり最新モデルである「ステルス」の性能面でのメリットがありつつも、フィーリングの好みによっては「SIM2 MAX」もじゅうぶん選択肢として現役と言えそうだ。
協力/PGST