松林にセパレートされた海沿いの林間コース大洗GC(7163ヤード・パー71)は、狭いフェアウェイ、深いラフ、硬く速いグリーンに太平洋からの海風と、難しい要素がギュッと詰まっています。国内ツアーを主戦場とする選手に加えてアジアンツアーから29名の猛者が参戦しています。
昨日の練習ラウンド後、前週優勝でフェアウェイキープ率トップの座を今季も守る稲森佑貴選手も、狭く海砂のバンカーやラフに警戒しているとコメントしています。午前スタートでは今平周吾選手が4アンダー、谷口徹選手と今日が誕生日の星野陸也、初優勝を挙げた桂川有人、アマチュア世界ランク1位の中島啓太選手が3アンダーで続き、午後スタートの組では岩田寛、大西魁斗選手らが5アンダーでフィニッシュしています。難コンディションの中で飛距離だけでなくフェアウェイキープとグリーン周りの深いラフからのアプローチ、パッティングがスコアメイクのカギになっています。
午前スタートの1番ティーで女子ツアー参戦中のエイミー・コガ選手とコーチ兼キャディを務める父の古賀裕規男さんを発見したのでツアー観戦に密着して話を聞きました。
エイミー選手は、国内男子ツアーは初観戦で平日の木曜日も手伝って男子ツアーは「静かな感じ」と女子ツアーとの雰囲気の違いを感じていました。コースの印象を聞くと、「このコースで試合があったら出たくないかも(笑)」とやはりコースの難しさを感じとります。
「フェアフェイも狭いけど、松の木がフェアフェイに向かって斜めに生えているし枝も出ているので余計に狭く見えますね。深いラフからは男子でも脱出するのが大変そうなので女子では出すだけになりそう」(エイミー・コガ)
6番ホールのグリーンでYouTubeで共演した横田真一選手の組につくと、バーディを奪った横田選手とパチリと一枚。続く7番のパー5もバーディとすると「女神だからこのままずっとついてきて(笑)」と横田選手。そこから11番パー4のグリーン、16番パー3のティーショット、12番パー4のティーショットが見られる位置でしばらく定点観測をしました。
「見ていて感じたのは、男子ツアーは国籍も飛距離も体型も年齢も幅広くてプレースタイルもみんな違うものを持っている。女子ツアーでは飛距離の差も男子ほど大きくないしゲームプランも似ているから正解もほぼ同じになるんですよね。でも男子は攻め方に多様性がありますね」
確かに今大会では、15歳の松井琳空海選手から54歳になる谷口徹選手までと年齢層は幅広く、長身の外国選手勢から比嘉一貴選手のような小柄な選手までこれまた幅広い。飛距離もドライバーで40ヤードや50ヤードの差がつくことも珍しくないので、当然ティーショットやピンに対する狙い方も変わってくる。だが、女子ツアーにおいてはプロテスト合格がQT出場の条件になったこともあり国籍も限られているし、飛距離の差も30ヤード程度だとエイミー。そうするとコース攻略の幅も男子に比べて狭いといいます。そんなエイミー選手の自分のプレースタイルを考えるヒントが前週優勝争いをした青木瀬令奈選手のクラブセッティングにあったようです。
「7番アイアンを抜いて7UTを投入した青木瀬令奈さんのセッティングに、自分たちとは真逆のマネジメントを感じました。エイミーは風の強いハワイでゴルフを始めたので低い弾道で攻めることばかりを考えていたのですが、風が強く距離もあった葛城(ヤマハレディースオープン)で青木さんは7UTを入れて高い弾道でしっかりピンのエリアにボールを止めていました。もう一度セッティングを含めたマネジメントを考え直すヒントになりました」(古賀裕規男さん)
今季はQTランク43位の資格で参戦しているのでシード獲得、初優勝そして海外メジャーへの出場を目指してゴルフに向き合っていると話します。
「ゴルフは一発勝負の(100メートル走やハンマー投げ)競技と違ってアドレナリンが出過ぎてもダメ。いつも通り、練習通りでプレーできるのがいいと思っています。心拍数を測りながらプレーしてみたら平均が130回で多いときは160回にもなっていることに気が付いて心拍数を上げないようにしてみたけど、そのほうがスコアが悪かったりしたので、いろいろトライしているところです」(エイミー)
難コースの攻め方を知っている谷口徹、岩田寛らのベテラン勢に今平周吾、星野陸也らの実績のある若手に桂川有人、大西魁斗、中島啓太選手とエイミーの話した通りの多様性のある選手がスコアボードに名を連ねています。明日は天候が荒れる予報になっていますが週末はどんなドラマが待っているのか注目してみます。