国内女子ツアー第11戦「ほけんの窓口レディース」で2年ぶりの勝利で通算5勝目を飾った渡邉彩香。「思い切りが足りない」ことをサポートするチームのzoomミーティングで指摘され、最後まで思い切りのよさを貫いたスウィングをプロゴルファー・中村修が解説。

豪快な飛距離が魅力でそれをアドバンテージにしている渡邉彩香選手ですが、開幕戦の「ダイキンオーキッドレディス」では優勝争いの終盤でドライバーを曲げOBのダブルボギーとスコアを落とし、西郷真央の初優勝に奪われていました。その後2試合でトップ10フィニッシュはしていたものの、全米女子オープンの予選と先週のメジャー「ワールドレディスサロンパスカップ」では予選落ちしモチベーションも下がっていたとコーチを務める中島規雅コーチはいいます。

「サロンパスで予選落ちした土曜日にチームでzoomミーティングしました。初日を見に行ったときに置きに行くショットばかりで、それって渡邉彩香のゴルフじゃないよね、と。アッパーに振って球を上げてでっかいゴルフをしていこうよという話をしました」(中島規雅コーチ)

画像: 「ほけんの窓口レディース」でプレーオフの末2年ぶり通算5勝目を飾った渡邉彩香(写真は2022年のほけんの窓口レディース 写真/岡沢裕行)

「ほけんの窓口レディース」でプレーオフの末2年ぶり通算5勝目を飾った渡邉彩香(写真は2022年のほけんの窓口レディース 写真/岡沢裕行)

今大会では、ミーティングで話し合ったという通りにルーティンで右足体重っぽく構えるようにしてアッパー軌道で振り切る大きなゴルフができていました。ショットメーカーに有利なOBが近く距離の短いホールも多かった福岡CC和白Cでしたが、時にはワンオンを狙うコースマネジメントで「自分のゴルフができたら優勝ができる」となれば、今後の自信にもつながると中島コーチは期待していました。最終日の8番のOBからのダブルボギーや終盤のボギーもチーム内では織り込み済みだったことで最後まで攻める気持ちをもってプレーできていましたね。では、スウィングを見てみましょう。

172センチの身長を生かした大きなアドレスから手元を少しアウトサイド側に高く始動していきます。そのまま雑巾を絞るように縦に体の捻転を入れ、手元が高く、アップライトなトップを作っています。

画像: 身長を生かした大きなアドレスから手元の高いアップライトなトップを取る(写真は2022年のダイキンオーキッドレディス 写真/岡沢裕行)

身長を生かした大きなアドレスから手元の高いアップライトなトップを取る(写真は2022年のダイキンオーキッドレディス 写真/岡沢裕行)

切り返しでは下半身が沈み込みインパクトに向けてパワーを出力する準備をしつつ、クラブは縦に手元は体よりも少し前に下ろしてきます。こうするとアウトサイドインの軌道になりますが途中でクラブを寝かすことなくクラブを立てまま振り抜くことで安定した軌道で振ることができているのです。

ただし中島コーチも話していたように、アウトサイドイン軌道ではドライバーを打つときに入射角がダウンブローに入ってしまうと、ロフトが立ち、低い弾道で左に引っかけるミスも発生します。そこで、ドライバーではアドレスでやや右サイドに加重し、アッパー軌道で振る準備をすることで入射角がレベルからアッパーになるように調整してます。

画像: クラブを寝かさずアップライトな軌道でフェードを打つ(写真は2022年のダイキンオーキッドレディス 写真/岡沢裕行)

クラブを寝かさずアップライトな軌道でフェードを打つ(写真は2022年のダイキンオーキッドレディス 写真/岡沢裕行)

マスターズを制したスコッティ・シェフラーもそうですが、アップライトなスウィングのメリットはアイアンではダウンブローに入りやすくスピン量を確保できる点にあります。フラットでシャローなスウィングに改造するのではなく、わずかな修正ポイントで持ち前のストロングポイントを生かして戦うというのもチーム渡邉彩香の戦略になっています。海外メジャーに出場したいと話していましたが、海外メジャーで戦う渡邉選手をぜひ見たいですね。

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