もし今日の結果が始まる前から決まっていた運命だったとしても、渋野選手は最終ホールのバーディが決まれば予選通過となる場面まで、もがき、抗い続けました。
スタートホールからドライバーは右のラフに外し、2打目をグリーンオーバーしボギーと、今日一日を象徴するスタートとなりました。距離のあるアウトコースはドローヒッターには打ちにくい右ドッグレッグが多いこともあり、2番は左ラフ、3番は右ラフ、4番は右の木に当たってまたもやラフと、ドライバーが安定しません。
1番、4番をボギーとし前半を2オーバーで折り返すと、フェアウェイをとらえた10番でバーディ、2オーバーのカットラインにあと1打の3オーバーとします。しかし、13番を3パットのボギー。14番、15番のピンチはなんとかしのぎ、パーで切り抜けます。
続く16番の左ドッグレッグのパー5では、右の林に打ち込みましたが、ラフから3Wで残り80ヤード地点に運ぶとギャラリーからの大声援を受けます。予選通過のためにはバーディ必須の土壇場で、帽子に手を当て背中を押してくれるギャラリーの声援に応える姿がとても印象的でした。
16番をバーディとし残り2ホール。17番はピン手前からバーディパットを打つものの入らずパー。いよいよ最終18番のパー5です。ティーショットは左のバンカーに入れてしまい、グリーン右手前の池に入らないようレイアップ。
左手前に切られたピンに対して、同じ組で先に打った渡邉彩香選手はアゲンストの風に戻されてわずかにショート。稲見萌寧選手はピン横につけますが、渋野選手はピン横からスピンバックしてボールはカップから遠ざかってしまいます。予選通過をかけた7、8メートルのバーディトライ。しかし、打った瞬間に左、ラインを外れたボールはカップに沈むことはなく最終ホールをパーで終え予選通過はなりませんでした。
終了後の会見では「やって来たことが出せない心苦しい1週間。パーを取るのが精いっぱいの内容でパーを取っても前向きになれなかった」と振り返りました。
途中何度もショットの修正を、と前を向いて切り替えようとしているように見えました。しかしその都度ラフにつかまったり、グリーンを外したりと悪い流れから抜け出せませんでした。全米女子オープンに向けて「緊張感のある中でショットの再現性を高めること、やるべきことをやり切れる準備をすること」を挙げ会見を終えました。
その後、練習場に直行した渋野選手を見ながらこの原稿は書いています。全米女子オープンではこの悔しさを晴らすプレーを見せてくれるに違いないでしょう。
2日目を終え7アンダーに西郷真央、山下美夢有、シン・ジエが並び2打差に有村智恵と酒井美紀、3打差に稲見萌寧、ユン・チェヨンと続いています。
ポイントとなるのは16番パー5。このホールは左ドッグレッグで2打目地点は下り傾斜になり2オンするにはかなりの飛距離が必要になります。
渋野選手はティーショットはドライバーで,ラフからの2打目を3Wで打ちました。このホールは練習ラウンドから左コーナーの木の上を狙ってショートカット気味に打っており、右に抜けてもラフまでは届かないはずでしたが、右プッシュだったことと、試合で飛び過ぎたこともあり、ラフまで突き抜けたのでした、稲見選手はFWで刻み平らな位置から2打目を打ち3打目勝負をしました。
恐らくシン・ジエ選手は最終日のバックナインでこのホールを含め、どうプレーするかを想定しながらラウンドしているはずです。バーディが欲しい終盤にどう攻めるのか、このあたりも気になりますね。引き続き週末の戦いに注目します。