国内女子ツアー第12戦「ブリヂストンレディスオープン」最終日、首位から出た西郷真央が苦しみながらも逃げ切り、地元・千葉で今季5勝目を挙げた。出場10試合での5勝目はツアー史上最速。直近の2試合は連続予選落ちとまさかの不振に陥ったが、あっという間に強い西郷が戻ってきた。
画像: 2試合連続の予選落ちがあったもののツアー最速で5勝目を挙げた西郷真央。勢いは止まらない(写真は2022年ブリヂストンレディスオープン 撮影/大澤進二)

2試合連続の予選落ちがあったもののツアー最速で5勝目を挙げた西郷真央。勢いは止まらない(写真は2022年ブリヂストンレディスオープン 撮影/大澤進二)

4人が首位に並ぶ大混戦の中で迎えた16番パー5、西郷はグリーン左手前のバンカーからの第3打を放り込みチップインイーグル。「打った瞬間寄りそうとは思ったけど、入るとは思わなかったのでびっくりです」という会心の一打で状況を一変させた。4勝目を挙げた3週前の「パナソニックオープンレディース」でも最終日の15番パー4で劇的なイーグルを決めている。師匠の尾崎将司にも1987年「フジサンケイクラシック」でがけ下から放り込んだチップインイーグルなど数々の名場面があり、終盤の勝負強さも師匠譲りといったところだろう。

西郷は今大会で優勝争いを演じた山下美夢有、海外メジャーを制した笹生優花とともに「新世紀世代」と呼ばれる。「黄金世代」の活躍以降、こんなふうに選手を世代別にカテゴライズするのが当たり前となっているが、少し前までは出身地別に語られることが多かった。21世紀の女子ゴルフ界で圧倒的に強さを発揮してきたのは熊本勢だ。西郷の憧れの存在である不動裕理に続いて、上田桃子、古閑美保と賞金女王を輩出。有村智恵、笠りつ子らトップ選手も次々に生まれた。大里桃子は強い熊本を継承する存在だ。また、沖縄勢も宮里藍、宮里美香、諸見里しのぶ、比嘉真美子らが相次いで活躍。なぜ熊本の女子ゴルフは強いのか、なぜ沖縄からはトップゴルファーが生まれるのか、ジュニアへの支援体制、練習環境の良さなど、その理由を探る特集記事はゴルフ雑誌やスポーツ新聞の定番だった。

画像: 西郷と優勝争いを演じた昨シーズンの賞金女王・稲見萌寧も“千葉勢”。彼女の調子が上がってきたことで女子ツアーはさらに盛り上がりそうだ(写真は2022年ブリヂストンレディスオープン 撮影/大澤進二)

西郷と優勝争いを演じた昨シーズンの賞金女王・稲見萌寧も“千葉勢”。彼女の調子が上がってきたことで女子ツアーはさらに盛り上がりそうだ(写真は2022年ブリヂストンレディスオープン 撮影/大澤進二)

そんな地域別で現在の女子ゴルフ界を見ると千葉が勢力を拡大している。今季絶好調の西郷、昨季2勝を挙げた吉田優利は千葉出身。また、昨季の女王・稲見萌寧は東京出身ながら中学時代に練習環境を求めて千葉に移住し、ジュニア時代は西郷と同じ練習場で腕を磨いている。今季初優勝を挙げた植竹希望は東京出身だが、千葉県内のジュニアアカデミーで育ち、吉田と同じ練習場に通っていた時期もある。そのほかにも、30歳にして初めてシード選手としてのシーズンを送っている仲宗根澄香、復調が待たれる成田美寿々が千葉出身、初優勝が期待される木村彩子は大阪出身の千葉育ちとバラエティーに富んだ顔触れが揃う。出身ではない選手を何人も引き込んだのは千葉県民の筆者による身びいきだが、最近の千葉の強さは伝わったはずだ。

6月2日開幕の海外メジャー「全米女子オープン」出場のため、西郷は今週から国内ツアーを欠場。同23日開幕の「全米女子プロ」まで米国に継続して滞在することも検討しており、国内の欠場が長引く可能性もある。西郷不在でも千葉の勢いは継続するのか、世代別とは違う、そんな視点で女子プロゴルフを楽しむのはいかがだろうか?

This article is a sponsored article by
''.