ジャスティン・トーマス(以下、JT)が鮮やかな逆転劇でメジャー2勝目(通算15勝目)を飾り、松山英樹が制した2021年のマスターズで優勝の争いをしたW・ザラトリスのメジャー初優勝を阻むことになりました。7,556ヤードパー70と距離のあるセッティングにアップダウンやクリークが流れるという難セッティングに選手たちは苦しめられ、決勝ラウンドに残った二人の日本勢の松山英樹、星野陸也は60位タイで4日間を終えました。ではJTのスウィングを見てみましょう。
JTのスウィングの特徴は2022年のマスターズを制したスコッティ・シェフラーと同じくトップで手元の高いアップライトなスウィングです。アップライトなスウィングのメリットは入射角を確保しやすい点にありアイアン巧者が多い点にありますが、デメリットはタメが強くなると入射角が鋭角になりロフト角が立ちすぎることです。
その点JTのスウィングは切り返し後も左腕とクラブの作る角度が一定でタメが強くなり過ぎず、入射角も安定しています。そうすることでアイアンではスピン量や距離感のコントロールにも効果を発揮しています(画像A)。
画像Bではクラブヘッドが最下点からレベルかわずかに上昇しながらインパクトを迎えているのがわかります。下半身の使い方に注目すると画像Aの右で、左足つま先で地面を踏み込んでから左ひざを伸ばすように使うことで回転力を得て、それをヘッドスピードに変換しています。
ランで距離を稼ぎはしましたが4日間の飛距離の平均は327.4ヤード(77位)に69.44%のパーオン率(2位タイ)、そしてパッティングの貢献度2位とショット、パットともにさえた1週間となりました。
過去の全米オープンやZOZOチャンピオンシップで見たJTは、ドライバーが曲がっていてもフルスウィングで振り切り、曲がらないようにインパクトで合わせるようなスウィングはまったくしていませんでした。それでもスコアメイクをして予選を通過しドライバーがハマると爆発的なスコアでリーダーボードを駆け上がってきていました。その思い切りのいいドライバーとスピン量や距離感のコントロールの効いたアイアンショットがJTの魅力になっています。メジャー3勝目も近いかもしれませんね。