――「GEARS」は、高精度カメラを8台使用した光学式のモーションキャプチャ計測システムで、スウィングを多方向から3Dで測定し分析するため、スウィングの軌跡、インパクト位置やフェース面の状態、ヘッドスピード、シャフトしなり、フェース方向、クラブ軌道などが正確にわかる。今回は、この「GEARS」でユージのアウトサイドインのスウィングの原因である、多くのアマチュアも悩んでいるトップスウィングでの「シャフトクロス」を直していくことに。
勝又:GEARSによるユージさんのスウィング計測の結果、ユージさんはトップでシャフトクロスの状態になっているんですね。この時に右腕の上腕(肩とひじの間の部分)が内旋しているんです。
ユージ:内旋させると右ひじが上に持ち上がりますね。
勝又:そうなんです。トップでこの形になると、ダウンスウィングでクラブがアウトサイドから下りてきやすくなるんです。
ユージ:確かにそうなります。
勝又:逆に右腕を外旋させてみると腕ってもうそれ以上は上がらないという位置に納まってくるんですよ。でも右腕を内旋させていくと腕はいくらでも上がっていくんです。つまり、右腕の上腕の使い方によってトップの位置って決まってくるわけです。今回はこの右腕の上腕の使い方の練習をしていこうと思います。
ユージ:よろしくお願いします。
――最初に右腕や右ひじの使い方を覚えるためのドリルをやることに。
勝又:右腕の使い方を覚えるドリルをやっていきましょう。使うのは軽めのダンベルですが、家になければ似たような形状のものなら何でも構いません。
ユージ:右手のひらで握れるくらいの棒状のものですね。
勝又:はい。ダンベルを右手で持ったら、左手は右のひじを下から支えます。この時にダンベルを持った右腕のひじの角度をキープしたまま、左手のひらから右ひじが外れない状態でバックスウィングで胸を回していくと、適正な形でトップスウィングに納まります。
ユージ:なるほど。
勝又:このトップの時のダンベルの向きが重要なんです。握っている手の小指側のダンベルの錘(おもり)の部分が右足つま先の延長線方向を向くように上がっていれば適正です。この小指側の錘部分が斜め後ろ側を向いていた場合はシャフトクロスになっています。
ユージ:じゃあこのダンベルのポジションを覚えておけば、後は左手を合わせれば正しいトップが作れるというわけですね。これは良いドリルですね。
――右手の使い方が分かったら、次は実際に球を打っていこう。はじめに、右手の片手打ちからやってみる。
勝又:まず右手の片手打ちなんですけど、左手は右ひじの内側の部分に軽く乗せておき、これで右腕が内旋するのをブロックします。そのままバックスウィングをしていき、グリップエンドが右足つま先の延長線上を指しているのを確認してから、球を打ちます。打ち急ぎをせずに、ポジションを確認してから打っていきましょう。
ユージ:わかりました。
――右手の片手打ちをやってみたユージは、最初はかなりの違和感があるようだった。
ユージ:これは思っている以上にコンパクトなスウィングになりますね。これでやると今までのスウィングのトップの位置がかなり高く上がっていたのが良くわかります。
勝又:そうですね。最初はハーフスウィングくらいのイメージで打つと、正しい体の動きが身についてくると思います。あと、ダウンスウィングで右ひじを内側から絞ってくる感じでやってみましょう。そうすると切り返しでクラブがインサイドから下りてきます。
ユージ:あ、今やってみて分かったことなんですけど、今までは右手の小指と薬指と中指でクラブを下ろしてきていたのが、今の右ひじを内側から絞ってくるダウンだと右手の親指と人差し指の腹の当たりで押す感じですね。
――ここで、ドリルと片手打ちで右手の正しい使い方を徹底的に覚えたユージのドライバーショットをギアーズで撮影し、新・旧のスウィングの違いをみてみることに。
勝又:飛球線の後方からの画像で見ると、明らかに違うのはトップの時の右ひじのポジションです。レッスン前はツアーアベレージ(USPGAツアーの20名の平均値)のエルボープレーンよりもかなり高い位置にあったのが、レッスン後はほぼプレーンと同じ位置に納まっています。そして、右ひじが正しいポジションに収まったことで、以前はクロスしていたシャフトがプレーンと平行の適正な位置に納まっているのがわかりますよね。
ユージ:右ひじの角度が全然違いますね。オーバースウィングも直っています。凄いな。
勝又:画像を真上(天井)からの画像に変えてみましょう。トップオブスウィングの時に、両肩を結んだ線とシャフトラインが交差した時に出来る角度が、以前は90度だったのが、レッスン後は60度になっています。
ユージ:確か、この角度が多いほどアウトサイドから切り返しやすくなるんでしたよね。
勝又:そうです。このトップからならインサイドからクラブを下ろしてくることが出来ます。
ユージ:ということは今まではいかにクラブのアクションが大きかったのかということなんですね。
勝又:そういうことですよね。
――最後に飛球線後方からの新・旧のダウンスウィングの画像をチェックすると。
勝又:まず前傾姿勢が違いますね。今まではクラブがアウトサイドから急激に縦に下りてきたので、そのままいくとダフるので、インパクト直前に体を起こしてヘッドの軌道を修正していたんです。それが、トップでの右ひじのポジションをコンパクトにしたことで、そういった複雑な動きを入れることなくクラブを下ろしてこられるので、ミスヒットが減るということなんですよ。
ユージ:バックスウィングで右腕を内旋させて上げていたのを外旋させて上げるようにしただけで、これほど劇的に変わるなんて、凄くないですか! みなさん、ぜひやってみましょう!