6月2日に開幕となる海外メジャー「全米女子オープン」。日本からは畑岡奈紗、笹生優花、古江彩佳、渋野日向子、上田桃子、識西諭里、小祝さくら、西郷真央、鈴木愛、高木優奈、西村優菜、濱田茉優、早川夏未の13名のプロに、馬場咲希、伊藤二花と2名のアマチュアを加えた計15名が出場予定となっている。
決戦の地となるのはノースカロライナ州サザンパインズの「パインニードルズ・ロッジ&GC」。いったい、どのようなコースなのか、日本でおこなわれた全米女子オープン最終予選を通過して出場権を獲得した識西のコーチ兼キャディとして現地入りした井上透は、こう評する。
「同コースで全米女子オープンが開催されたのは直近では2007年大会ですが、そこからコース改造がなされ、グリーンの起伏も激しくなり芝もバミューダに張り替わっています。2014年大会の開催コースであるパインハーストNO.2が近くにあるのですが、それにかなり寄せてきた感がありますね。グリーンのデザインなど、コースのテイストがそっくりで、ちょっと狭いパインハーストと言った感じです。相当難しいコースですね」(井上、以下同)
ではいったいどこが難易度を高めているのか。具体的なコースの特徴として挙げられるのが、まずラフがないという点だ。
「ラフがなく、フェアウェイからこぼれるとウェストエリアになっているので、ランアウトしやすくなっていますね。フェアウェイの幅は30ヤード程度とそこそこあるのですが、たとえばフェアウェイに右から左への傾斜があった場合、ティーショットでドローを打つとそのままランアウトしてしまいますね」
井上曰く、こういったラフがない、あるいは少ないコースはここ最近アメリカで増えつつあるという。水不足のなかで、メンテナンスのためにスプリンクラーが必要なラフを設置せず「いかにラフを減らした状態で難易度を上げる、というUSGAのコンセプトがハッキリ感じられるコースです」という。
「またグリーンのコンパクションは結構硬めで、バミューダ芝ということもありますが、ボールマークがまったくつかないくらいです。練習日の段階で24kg/cm2くらいはあると思います。意外とボールは止まってくれますが、ラフという救済措置がないぶん見た目の幅より狭く感じますし、ミスしてしまうといい条件では次打を打たせてくれません。ウェストエリアには入らないようマネジメントしていきたいですね」
加えて「グリーン上の難易度も高いです」と井上は続ける。
「グリーンも傾斜が激しく、ボールを置いただけでも転がって出てしまうエリアが結構多いです。グリーンのなかで使えるところは、全体の面積の80%くらいでしょう。グリーンスピードもめちゃくちゃ速くて、練習日の段階で11.5フィートくらいはありますね」
グリーンまでの道のり、そしてグリーン上の難易度も高めのため「最初から外すことを前提に、どこに外すかを決めなきゃいけないホールもいくつかあります」と井上は言う。
「さらに厳しいのが、バーディチャンスだなと思えるホールがすごく少ないこと。いいスコアが出る大会にはならなそうですね。天候が4日間通して良好だった場合でもトップがトータル10アンダーくらい、普通に風が吹いたら、トップがトータル6~7アンダーくらいで、アンダーパーは10人未満といった予想です。なかなか過酷な試合になるのでは、と考えています」
とは言え、井上が練習日を経ての印象では「諭里が通用しない、力不足だとは思いません。全然勝負できるフィールドだと感じます」と意気込みをのぞかせる。海外メジャーでの日本人選手の活躍に、要注目だ。
写真提供/井上透
※2022年6月1日19時10分 誤字を修正いたしました。