「剛性を簡単にいうと、シャフトの”しなり”と呼ばれる度合いのことで、専用の機械で測定します。よくメーカーのホームページで『先調子』『元調子』と掲載されていますが、僕の工房では具体的な先端、中央、手元の3点の剛性数値を測定しているんです。そうすることで、シャフトの個性や特性をデータ化でき、感覚ではなく数値によって客観的にゴルファーに合ったシャフトを判別できるというわけなんです」
数値が高いほど硬く、低いと軟らかいことを示す剛性測定。羽藤氏はその数値をもとに「『先がしなりやすいシャフト』、『手元がしなりやすいシャフト』、『中間がしなりやすいシャフト』、『先と手元がしなりやすいシャフト』の4つに分類している」という。実際にグラファイトデザインVR-6(S)の剛性を測定すると、先端が9.2。中央が15.2。手元が26.2。つまり、グラファイトデザインVR-6(S)は「やや先がしなるシャフト」に分類されるということだ。
「ゴルフスウィングはシャフトだけでするわけではありませんから、そこからさらにヘッドの数値からも『ヘッドが速く動くか』『遅く動くか』の2つにわけています。このようにシャフト剛性とヘッドの数値をデータ化することでより精度の高いフィッティングができるようになったと思います」
シャフトの3点剛性を測定するだけでなく、さらにヘッドとシャフトを組み立てたこときに「ヘッドが動く速度に着目している」という羽藤氏。振動数値は、言い換えればヘッドが動く速度のため、その参考にしているというわけだ。このようなクラブの特性をデータ化することで、フィッティング時に正しい判断ができるというわけだ。
兵庫県宝塚市にある「ピジョンゴルフ」はプロゴルファーの駆け込み寺のような存在だが、このようなデータを長年分析していることもその理由のひとつなのかもしれない。