国内メジャー第1戦「BMW 日本ゴルフツアー選手権 森ビルカップ」の初日が始まった。ツアーを盛り上げる若手に注目するプロゴルファー・中村修は杉原大河をチェック。現地からのレポートをお届け。

「BMWツアー選手権森ビル杯」の優勝者には「ZOZOチャンピオンシップ」、欧州ツアー「BMWインターナショナルオープン」への出場権と、翌年から5年間のシード権が与えられます。そして国内初戦から今大会までの獲得賞金ランキング最上位者には7月にセントアンドリュースでおこなわれる「全英オープン」の切符が与えられ、それを狙っての戦いが繰り広げられています。

画像: 「BMWツアー選手権森ビル杯」の初日を8オーバーと出遅れたがそのポテンシャルに着目の杉原大河

「BMWツアー選手権森ビル杯」の初日を8オーバーと出遅れたがそのポテンシャルに着目の杉原大河

例年よりもラフが短く、密度も少ないセッティングですが、7387ヤードと距離をたっぷりと長くし難易度を保っています。実際に18ホール、コースを歩いてきましたが、微妙なドッグレッグによってフェアフェイはとても狭く見えます。狭いホールは15ヤードほどで幅の狭い左右のラフを越えるとすぐに林が待っています。グリーンのスピードは13フィート、コンパクション24とこちらは例年通り硬く速いグリーンに仕上がっています。

若手に注目しよう、と杉原大河選手を選び、香妻陣一朗、比嘉一貴選手との組み合わせについて18ホール歩いてきました。杉原大河選手は東北福祉大在学中にアマチュアで出場した昨年の今大会で3位タイ、三井住友太平洋VISAマスターズでも8位タイの成績を残しプロ転向を果たします。今季2試合出場したレギュラーツアーでは、予選通過するものの順位は57位タイと61位タイ、今大会初日の今日は8オーバーと出遅れ苦戦しています。杉原選手が苦戦している理由はいったい何なのでしょうか?

画像: 豪快なスウィングで飛距離をアドバンテージに戦う杉原大河

豪快なスウィングで飛距離をアドバンテージに戦う杉原大河

杉原選手の特徴は、何といいっても思い切りのいいスウィングから放たれる、ボール初速80m/sに迫るという大きな飛距離。昨年も飛距離をアドバンテージにツアーで成績を残しましたが、今日の杉原選手にはその思い切りよさが見られなくなっているように感じました。その理由には、狭いフェアフェイ、硬く速いグリーンのセッティングにツアーの洗礼を受けているといっていいでしょう。

そして同組の先輩たちを見てみると、比嘉選手は5メートルくらいの高さのライナーでアゲンストでも矢のように突き進むドライバーショットで、香妻選手は3Wからアイアンまでスピン量をコントロールしながらラインを出したショットでフェアウェイをキープし、しっかりとコースを攻略していました。

画像: 同組の香妻陣一朗は全米プロゴルフ選手権出場後に現地で行われた全米オープン予選を通過し、本戦出場を決めた

同組の香妻陣一朗は全米プロゴルフ選手権出場後に現地で行われた全米オープン予選を通過し、本戦出場を決めた

先輩たちの技術の高さに裏づけされた個性的なプレースタイルを見てしまうと、あれもこれも自分には足りないと感じているのかもしれません。少し杉原選手らしいプレースタイルを見失っているような気がしました。

確かにフェアフェイキープを優先するための技術や、ハザード近くに切られたピンに対してセーフティに攻めるアイアンショットの技術も必要ではありますが、ティーショットが多少曲がっても思い切りのよさで戦う昨年までの杉原選手の姿はジャスティン・トーマス(以下J・T)の姿と重なるように感じていました。何度かUSPGAツアーで実際に目にしたJ・Tは、ドライバーの調子が悪く、曲がっていたとしてもインパクトで合わせるようなスウィングはせずに、思い切りよく振りながら試合の中で調整し、それがハマったときにはビッグスコアで一気に優勝争いに加わってきます。

渡邉彩香は「OBを打ってもバーディで取り返すのが渡邉彩香のゴルフ」とチームで話し合い小さくまとめようとしていたプレースタイルを改め優勝を手にしました。

秘めたポテンシャルはお墨付きなので、杉原選手らしいプレーを取り戻せば必ずツアーで活躍できる日も近いと思っています。

初日を終えて首位にはJ・チョイが6アンダー、1打差の2位にルーキーの平田憲聖選手、2打差の3位タイには木村太一と坂本雄介、パク・ウンシンの3名が並び、3打差6位タイには星野陸也、出水田大二郎が続いています。平田憲聖選手は大学に通いながら昨年のQTで2位に入りプロ転向した若手です。男子ツアーも次から次へと現れていますので目が離せなくなってきましたね。

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