2位に3打差のリードをもって最終日をスタートした池村選手ですが、19歳の久常涼選手が11アンダー、47歳のB・ケネディが7アンダー、41歳の宮里優作が8アンダーとスコアを伸ばす展開になり、16番、パー4をボギーとすると、先にホールアウトした久常選手と並んでしまいます。しかし17番パー5をバーディとし再び1打リードすると、18番では痺れる1.5メートルのパーパットを沈めて見事に優勝を手にしました。
池村選手といえば、FWを抜くセッティングと直ドラが得意にしていることでも有名です。直ドラを成功させるエッセンスが詰まったスウィングをじっくり見てみましょう。
オーソドックスなスクェアグリップで握りボールは左わきの下。バランスの取れたアドレスからテークバックを始動すると、左腕が地面と平行になる早い段階でクラブが立ちコックを完了させています。
こうすることで手元を胸の前に置ける、必要以上のコックをしない、手元を体から遠くにキープできる、というメリットがあります(画像A)。
切り返しではじゅうぶんな“間”があり、クラブの重心を感じながらスウィングプレーンに乗せてからダウンスウィングに入りますがタメは必要以上に深くなりません。テークバックでクラブを立てる動作から左手の親指にクラブを乗せる感覚をもっているのでしょう。そのことによって体と手元の距離が変わらずにダウンに入っています(画像B)。
必要なだけのタメをキープしながら、右への体の傾きも少なく横からレベルにボールを打ち抜いています。切り返し以降に手元が体から遠いのでダウンスウィングの半径が大きくなることで、入射角が浅くなることとヘッドスピードを加速させるのにじゅうぶんな距離を確保しています(画像C)。
170センチに満たない身長ながら大きな飛距離と、浅い安定した入射角で直ドラも得意なスウィングを身につけています。
トップから直線的に最短距離でインパクトを迎えようとしていまうと、ダウンでクラブが立ち過ぎてアップライトで入射角も強いダウンブローになってしまいます。そこでポイントになるのは、手元を体から遠くにキープしたままスウィングする意識を持つことで浅く安定した入射角を手に入れることができます。
同級生の比嘉一貴選手の活躍に刺激を受けながら、崩れることなく自らつかみ取った2勝目は池村選手にとって大きな自信になることでしょう。自分のプレースタイルを持つ池村選手はますます強くなっていきそうです。