「ニチレイレディス」の開催される袖ヶ浦CC新袖Cは、距離の設定は6563ヤードと長くはないものの、アップダウンのあるホールやドッグレッグと2グリーンのため小さなグリーンとFWキープやパーオンが求められるセッティングでした。しかし、優勝した西村優菜選手の大会期間中のFWキープ率は20位、パーオン率も21位と良くはありませんでした。では何が良かったかというと平均パット数が24.33と2位に入った森田遥選手と同じく1位を記録していました。そしてパットが良かった理由をキャディを務めた森本真佑プロキャディに話を聞くと、アプローチにあったといいます。
「一つはパターをツノ型に戻したこと、もう一つはアプローチに少し悪いイメージを持ちながら打ってしまいうことがあったのを良いイメージを持つこと、次のパットが打ちやすい上りだったり真っすぐだったりのラインが残るように考えながらやっとことがノーボギーにつながりました」(森本真佑キャディ)
初日に7アンダーで2位発進した会見で西村選手が話していた内容は、森本キャディと取り組んだことが早速結果に表れたということだったようです。それにしても、優勝争いの15番のバーディパットや17番パー3の50センチにつけるOKバーディなどここぞという場面で集中力を発揮して後続を突き放す強さは見事としかいようがありませんでした。ではスウィングをじっくり見てみましょう。
150センチという小柄な体型から今大会平均飛距離233ヤードを飛ばす原動力は、テークバックで頭を少し右に動かしながらしっかりと股関節に荷重しエネルギーを蓄えながらバックスウィングしていきます(画像A)。
トップからの切り返しでは、右から左へ踏み返えすように左足を踏み込み下半身のリードでダウンスウィングに入っていきます。グリップの力感が強くならずに体幹の動きに腕やクラブが連動してついてくるような動きが見て取れます(画像B)。
西村選手の言葉を借りれば「右サイドで振る」といいますが、左に踏み込んでからは左には突っ込まず頭の位置は不動で、体幹を回し続けることでクラブを引っ張るようにグリップにエネルギーを与え続けています。そうすることによって正確で再現性の高いスウィングを実現しています。インパクト後はしっかり手首も返り大きなフィニッシュへとつながっていきます。
西村選手のアイアンを見せてもらったことがあるのですが、スウィートエリアのまさにボール1個分だけメッキが剥げるように削れていました。打点のズレの少ない正確なインパクトが垣間見えました。
悔しい結果に終わった全米女子オープンを糧にし、エビアン選手権、全英女子オープンと海外メジャーの出場権をほぼ手中にしたことでさらなる高みを目指すことでしょう。西郷真央、稲見萌寧、山下美夢有、小祝さくらと昨季ツアーを引っ張ったメンバーが調子を上げて来ています。今週の高額賞金の「アース・モンダミンカップ」も現地からのリポートをお届けします。