「アース・モンダミンカップ」の最終日に6打差をひっくり返し初優勝を挙げた木村彩子。強風の中フェアフェイを外さななかった安定したスウィングをプロゴルファー・中村修が解説。

最終組が最終ホールのホールアウトするまで誰が優勝するか決まらないドキドキの展開となった「アース・モンダミンカップ」。深いラフと速いグリーンに加えて2日目から強風に翻弄され続けた試合となりました。みなさんも改めてゴルフは風の影響が大きい競技だと感じたのではないでしょうか。風というものは、飛んでいくボールだけでなく始動のタイミングやテンポにも影響を与えますし、グリーンのスピードが速かった今大会ではグリーン上でのボールの転がりにも影響を与えました。

思い通りに打ったショットでも風にもっていかれてラフやハザードに入り、スコアを落とす度にメンタルを削られていきます。2日目間耐えられても、3日目も強風は続きましたし、強風が続いたことで、最終日のバックナインまで気力と体力をもち続けられるかどうかが勝敗を分けたように思います。

画像: 最終日は9位からスタート、6打差を逆転して初優勝を手に入れた木村彩子のスウィングをプロが解説(写真は2022年アーズ・モンダミンカップ 撮影/有原裕晶)

最終日は9位からスタート、6打差を逆転して初優勝を手に入れた木村彩子のスウィングをプロが解説(写真は2022年アーズ・モンダミンカップ 撮影/有原裕晶)

木村選手はこれまで何度も勝争いを経験しながらも勝てないことが続いていましたが、今大会では強風を味方につけることがシンプルで明確になり、優勝争いの中でも目の前の一打に集中できていました。では、そのスウィングを見てみましょう。

木村選手のスウィングの特徴は、左右への体重移動やダウンで左サイドへの踏み込み、上半身と下半身の捻転差といった飛距離を伸ばす要素になる体の使い方をほとんどしていないところにあります。

画像Aではアドレスから、ほぼその場ににとどまったまま体を回してトップまでむかえています。

画像: (画像A)右に踏み込んでいくような動きはなく、その場で左に回転している

(画像A)右に踏み込んでいくような動きはなく、その場で左に回転している

画像Bの切り返しでも、左への移動や踏み込みは少なく軸をセンターに取りながら体幹の回転でクラブを軌道に乗せていきます。画像Bの右を見ると上半身と下半身の捻転差も少ないです。

画像: (画像B)切り返しでは左サイドへのグッとした踏み込みはなく、上半身と下半身の捻転差も少ない

(画像B)切り返しでは左サイドへのグッとした踏み込みはなく、上半身と下半身の捻転差も少ない

画像Cのインパクトからフォローにかけて、上半身と下半身の捻転差が追いついたところから頭を残し過ぎずに顔の向きも体もフォローへと振り抜いていきます。

スウィング中に無駄な力みがなく、スッと上げてスッと回転して、スッとフィニッシュにおさまる木村選手のスウィングは、再現性と正確性を磨き上げたスウィングと言えるでしょう。

画像: (画像C)インパクトで上半身と下半身とクラブヘッドが一直線に並んだところから頭を残すことなく、顔の向きからすべてフォローへと回転

(画像C)インパクトで上半身と下半身とクラブヘッドが一直線に並んだところから頭を残すことなく、顔の向きからすべてフォローへと回転

「西村優菜ちゃんや私みたいに小さくて飛距離が出ない選手でもツアーで勝てることをどんどん証明していけたらなと思います」(木村彩子)

強風の中の4日間でも最後まで崩れることなく戦い抜いた磨き上げられたプレースタイルは、2勝目、3勝目と続きそうです。

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