今年の全英オープンの舞台「セントアンドリュース」。言わずと知れたゴルフの聖地だが、リンクスとあって日本から出場する選手には〝全英対策〟が必須。そこで、過去の日本人選手が行った対策を調べてみた!

2度セントアンドリュースで戦った男の〝全英対策〟

同じ全英でもセントアンドリュースは特別なのか、4度全英オープンに出場し、うち2度セントアンドリュースで戦った宮瀬博文に話を聞いた。

「セントアンドリュースはとにかく海からくる重たい風と硬い地面が印象的でした。2000年に回ったときは“気張らず普段通りでいこう”と特に対策は練らず挑みました。けれど、やはり痛感したのは風。なので、2回目はティーショット用のUTをもっていきました。フォローなら250Yは飛ぶし、バンカーも避けられたので助かりました」

逆に58度のウェッジにはほとんど活躍の場がなく、グリーン周りには反省点が残ったという。

「グリーン周りは58度のウェッジを使う場面が少なく、残り50Yをパターで打つこともしばしば。そんな経験から2度目は決勝へ進むことができました。今年挑む選手たちには、バンカーの幅を特に把握しておいたほうがいいよって言いたいです」

画像: 宮瀬は2000年に全英初出場したが、風に苦戦し予選敗退。2010年全英オープンでセントアンドリュースに再挑戦し決勝Tへ進出。68位タイでフィニッシュした

宮瀬は2000年に全英初出場したが、風に苦戦し予選敗退。2010年全英オープンでセントアンドリュースに再挑戦し決勝Tへ進出。68位タイでフィニッシュした

超ローバウンスが攻略のカギになる!

リンクスではローバウンスのクラブが有利だとはよく聞く話。2005年、2010年、2015年に出場した藤田寛之は、バウンス角が2度以下の60度ウェッジをセントアンドリュース対策として投入していたという。

同じく2000年に出場した今野康晴プロもバウンスを8度から6.4度に変えたことは成功だったとのこと。

「’98年に全英オープンの予選へ出場したのが大きかった。そこで芝質を体感でき、いつものバウンス角だと跳ねるだろうと思い、1.6度削ったんです。それでグリーン周りは攻略できたのですが、バンカーと風に悩まされました」

画像: 「風がフォローとアゲンストで、ここまで球の落としどころが変わるんです。いかに風を読むかが攻略のカギです」(写真左)「アスファルトから打つ、と思えばイメージしやすいかも。それぐらい地面が硬く、バウンスが邪魔になって跳ねてしまうんです」(写真右)と今野プロ

「風がフォローとアゲンストで、ここまで球の落としどころが変わるんです。いかに風を読むかが攻略のカギです」(写真左)「アスファルトから打つ、と思えばイメージしやすいかも。それぐらい地面が硬く、バウンスが邪魔になって跳ねてしまうんです」(写真右)と今野プロ

いっぽうで、ここ数年のほかのコースでおこなわれた全英オープンに出場した2選手にも話を聞いた。

普段通り臨んだというのは、2019年大会ではロイヤルポートラッシュで戦った堀川未来夢プロ。
「普段のリズムで打ちたかったので特にセッティングは変えていきませんでした。風もそれほどだったので、特別意識することはなかったです」

昨年大会に出場し、ロイヤルセントジョージズで戦った永野竜太郎プロも、普段通りだッという。
「コース自体難しかったのですが、クラブセッティングは変えず、それほど意識も変えずに普段通り臨めました」

風、地面の硬さ、巨大な共有グリーンなど、環境そのものが特異なゴルフの聖地。
さまざまな選手が特別な対策を迫られるというのだから、やはりセントアンドリュースは全英オープンのなかでも特別なコースなのかもしれない。

画像: my-golfdigest.jp
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