新しいドライバーのスペックは全米オープンで使用していた「TSi3」と変わらずロフト8度で長さは45.63インチ。シャフトも同じFujikura Speeder 661のXを挿している。
「『TSR3』を最初に試したのはプレーヤーズ選手権(3月)の練習日だった。打った途端ミスの幅が狭まったのを感じた。ボールスピードも少し上がった」とザラトリス。実戦での使用はスコティッシュ・オープンが初めてだが「平均6ヤードくらい伸びていると思う。ミスショットも真っ直ぐ飛ぶようになったから」
今シーズンのはじめにドライバーの長さを伸ばしたことで昨シーズンに比べドライビングディスタンスが5ヤードほど伸び311.8ヤード。全体の16位にランクインしている。ニュードライバーでさらに6ヤードプラスならマキロイを抜きジョン・ラームと肩を並べる飛距離が望める。
昨年のマスターズで松山英樹に1打差の2位。今年は6位タイに終わったが全米プロではジャスティン・トーマスとプレーオフを戦い敗れたものの単独2位。そして全米オープンでは同じ年のマシュー・フィッツパトリックとの激闘もあと一歩及ばず2位タイ。これで全英オープンも2位ならシルバーメダルグランドスラム(?)の達成となる。
ちなみにメジャー大会のポイントが高いためザラトリスのDPワールドツアーでのポイントレースは現在マキロイを抑え現在1位。同ツアーの年間王者候補でもある。
シルバーメダルコレクターと聞いて思い出すのはアーニー・エルスだ。メジャー4勝を挙げているが2位の方が多くて6回。3位も5回で90年代から00年代にかけつねにメジャーで優勝争いしていたイメージがある。
そのエルスはメジャーデビューから8戦目で全米オープンを制覇したが、ザラトリスはメジャー10戦でトップ10入り6回を数えるが未だタイトルに手が届いていない。
エルスは運の悪いことに同じ時代に稀代のスーパースター、タイガー・ウッズがいた。さらにフィル・ミケルソン、ビジェイ・シンらと全盛期が重なっていた。00年のマスターズではシンの後塵を拝して2位。続く全米オープンではタイガーに15打差をつけられ2位。全英オープンでもタイガーに8打差の2位。
04年にはマスターズで最後まで優勝争いをしながらミケルソンのメジャー初勝利を阻むことはできず単独2位。同じ年の全英オープンで今度は伏兵トッド・ハミルトンとのプレーオフに敗れて戴冠を逃した。
いいプレーをしているのに誰かが上にいる。「メジャーで勝つために戦っているのに」と肩を落とす姿が痛々しかった。「タイガーさえいなければ(もっとメジャーで勝てていたのに)」と冗談交じりに語ったこともある。
今の時代にはかつてのタイガーのような圧倒的な存在はいない。誰にでもメジャー獲りのチャンスはある。あと一歩で優勝を逃してきたザラトリスにもそろそろ勝利の女神が微笑んでいいはずだ。