LIVのCEOを務めるグレッグ・ノーマンが全英オープンを主催するR&Aから強烈なパンチを食らった。86年と93年に全英オープンを制覇しているカリスマをR&Aが第150回記念大会から完全に排除。チャンピオンズディナーだけでなく歴代チャンピオンが出場する大会前のセレブレーションマッチにも招待されず、PGAツアー、DPワールドツアーに続きR&Aもゴルフ界を分断させる新リーグ、LIVゴルフに対して断固たる姿勢を示した。
画像: 全英オープンで2勝を誇るノーマンだが、LIVゴルフ問題で150回記念大会から排除される形となってしまった(写真/Getty Images)

全英オープンで2勝を誇るノーマンだが、LIVゴルフ問題で150回記念大会から排除される形となってしまった(写真/Getty Images)

数カ月前ノーマンはR&Aに「ゴルフ界への貢献と全英オープン2勝の功績により第150回記念大会に特別推薦枠で出場させて欲しい」という要望を伝えている。しかしR&Aは「特例を設けるつもりはない。出場できるのは規定の有資格者に限られる」と即座に断りを入れた。

そして今回タイガー・ウッズやローリー・マイロイら歴代チャンピオンと中島啓太をはじめ男女アマチュアらをミックスして開催するスペシャルイベント、セレブレーション・オブ・チャンピオンズへの招待を拒否。されに恒例のチャンピオンズディナーにも招待しない異例の方針を打ち出した。

「グレッグ・ノーマンとコンタクトを取り、我々が彼を特別イベントに招待しないことを伝えました。第150回大会はゴルフのマイルストーンとなる重要な節目の試合。ジ・オープンの歴史とレガシーを祝うべき大切な機会です。残念ながらグレッグ(ノーマン)が出席することによってその目的が達成されなくなってしまいます。今後状況が変われば再び彼を招待するときが来るでしょう」とR&Aは声明を出している。

ノーマンが率いるLIVゴルフはサウジアラビアの莫大な基金を背景に3日間54ホールで優勝賞金4千万ドル(約5億4千万円)を競う高額イベントを開催している。ロンドン郊外でおこなわれた初戦ではチャール・シュワーツェル、アメリカでおこなわれた第2戦ではブレンダン・グレースの南ア勢がそれぞれ4千万ドル(プラスチーム戦の賞金)を獲得している。

911テロ事件への関与や虐殺、虐待など人権問題の存在を疑われるサウジアラビア。同国がスポーツに投資し不都合な事実をカモフラージュするスポーツウォッシングの一環としてオイルマネーが注ぎ込まれた見られ、決してクリーンではない資金の魔力で人気選手達を取り込む手法が欧米で批判を浴びている。今回R&Aがより鮮明に立ち位置を示したことでさらにゴルフ界の分断が進む可能性もある。

R&Aの決断に対しノーマンは母国オーストラリアのゴルフダイジェストに「がっかりしている。我々がやろうとしているのは世界中でゴルフというゲームを迅速に成長させること。R&Aはもっと俯瞰で物事を見てくれていると思っていたのに残念だ」と語っている。

ノーマンが招待されなかった特別イベントはジ・オープンの歴代チャンピオンや全英女子オープン覇者、そして中島らトップアマが4人1組で1番&2番、17番&18番の4ホールをプレーして雌雄を決するチーム戦。

「ゴルフ界の過去、現在、未来を示すフィールドを意図的に招待した」とR&A。LIVには過去も未来もないといわんばかり。ゴルフの未来はどうなる?

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