コースに出ればフルショットの距離が残ることはほとんどないだろう。狙ったピン近くに打つためにはつねに距離を調整しながら方向性も確保し、ダフリやトップもしないように打たなければならない。それだからゴルフは難しい。そこでプロゴルファーでTPIレベル3・タイトリストフィッティングスペシャリスト・トラックマンマスターという3つの肩書きをもつ“三刀流プロ”・小島慶太プロにトラックマンを使って試打し、データを解読。番手間の距離を打つ、ショットのメカニズムと打ち方のポイントを教えてもらった。
「フルショットよりも少し距離を落とすには、わずかにカット軌道で打ち、ボール初速を落としてキャリーを抑えます。ここではカット軌道が強すぎない『押しカット』で打つことがポイントになります」(小島慶太プロ、以下同)
小島プロの場合は、7番のキャリー174ヤード、8番では162ヤードと12ヤードある番手間の距離を「押しカット」で打つことで埋めることができるという。ちなみに「押しカット」とは番手間の距離を打ち分けるスピン量が増えすぎず風にも強いフェードボールのこと。
実際にフルショットと「押しカット」で距離を5ヤード抑えて打ったショットを比較してみると、ボール初速が約2m/s落ち、クラブ軌道は2.4度アウトサイドインでスピン量は約500rpm少なくなっていることが確認できる。もう一つ押しカットの特徴として5.7ヤード右という曲がり幅の少なさも挙げられる。
「いろいろなやり方、打ち方がある中で少しグリップを短く持ってオープンスタンスで構えることをオススメします。オープンスタンスの構え方は、球の位置は変えずにボールを中心に反時計回りに5分程度右にスタンスを移動させるとそのぶんだけボールは左寄りになり、クラブ軌道もわずかにカット軌道で浅い入射角で振れるようになります」
ボールの位置が左になることで入射角が少し浅くなり、スピン量が減るというか増えないことで曲がりの幅や飛距離をコントロールできている点にも注目だ。
カット軌道で打ち出しを左に出そうとして体が止まると左へ引っかける大きなミスになりかねない。
「体が止まると左へのミスになるので、しっかりと体幹を回しておへそをターゲットに向けるように意識しながら振ることで引っかけを防ぎながら距離を抑えることができます」
飛距離をコントロールするためだけでなく、右サイドに切られたピンや風に乗せたり喧嘩させたりと「押しカット」の使い道はさまざま。覚えておくと武器になること間違いなし!