「今回は歴史的に大きな意味を持つジ・オープン。ここで歴代チャンピオンのひとりになれたのは幸運だったし、またここでプレーしたい。ハイレベルな状態でもう1度戻りたいけれどどうなるかわからない」と先週アイルランドで行われたプロアマ大会でタイガーは記者にそう語っている。
ハイレベルのプレーを維持するための彼の努力は想像を絶するものがある。全英オープン前の土・日はスコティッシュ・オープンで予選落ちしたジャスティン・トーマス( JT)とセントアンドリュースを36ホールプレー。昨年の自動車事故で痛めた右脚の状態を考えると大会前に36ホール歩き抜いたのは驚異的だ。
セントアンドリュースはリンクスなので復帰戦を戦ったオーガスタや途中棄権した全米プロの舞台サザンヒルズほどアップダウンはない。しかし微妙な起伏があり地面が硬い。「フラットだけれど歩きやすい訳ではない」とJT。だがタイガーはコースマネジメントを考えながら入念にグリーンのチェックを行なった。
JTがタイガーの年の離れた親友ならディフェンディングチャンピオンのコリン・モリカワはタイガーに「友情を感じている」という。「タイガーがどう思っているかはわかないけれど僕は友情と呼びたい。ゴルフを始めてからずっと憧れてきた人と間近で関わることができる。それは本当に驚くべきこと。これ以上ないほどクール」(モリカワ)
「冗談を言い合ったり、一緒にゴルフをしたりできる。それは昔僕が夢見たこと。本当に必要なことがあれば電話をして相談することだってできる。まだそういう機会はないし、実のところ(電話するのは)ちょっと怖いけれど(苦笑)」
モリカワはJTとの会話の中でタイガーがいかに年下のライバルを打ち負かしたいと思っているかを知ったという。「トップに戻り、試合で勝つためにどれだけの意欲と決意を持って臨んでいるか。それを思うと感動するし自分もやらなければと思わされる」とモリカワ。
タイガーのアドバイスでJT のドローとフェードを打ち分ける技術が向上したのをモリカワが感じたのは3月のプレーヤーズ選手権のこと。
「2日目の彼のプレーはこれまで僕が見てきたゴルフ史上最高のラウンドだった。フェードとドローを分けるだけでなく高さも3段階くらい打ち分けていた。まるでフェード、ドロー、ストレートかける上中下の9つの窓が空中に開いていてそのどこも狙い通りに通せるイメージだった」
タイガーからインスパイアされてショットを自在にコントロールする術を会得したJTにモリカワは触発され、さらなる高みを目指す決意を固めた。これはまさしくタイガーイズムの継承。タイガー、JT、モリカワはクラレットジャッグを掲げるため今週セントアンドリュースのティーに上がる。