今日から決勝ラウンドに入る、第150回全英オープン。第1回は1860年、今から162年前にさかのぼる。その長い歴史を一冊にまとめると、かなりの豪華本になってしまうのだが、これまでにChoice本誌で紹介してきた全英オープンにまつわる記事や、書下ろしなどを交えて一冊が、150回記念大会初日に合わせて昨日、発売された。セントアンドリュース・オールドコースにまつわる一部を紹介しよう【PR】

神の創り給うたコース   

セントアンドリュースでは、一夜明けると新しいバンカーが出来ているという。ダッファーが削り取ったディボット跡が強風によって、一夜のうちにバンカーと化すというのである。ホントかいな、と思うだろうが、いまあるバンカーの多くはそんなふうにして出来あがったものらしい。現在では、メンテナンスがゆきとどいているから、コース管理の人たちがディボット跡も目土などで修復してるので、新しいバンカーが突如あらわれることもない。

しかし、もし、いにしえのゴルファーが聞いたら、折角、天然の風が造ってくれたバンカーを人の手で修復するとは何事ぞ、と、その軽挙をそしるかもしれない。彼らは自然のままのリンクスこそがゴルフコースであり、天然の手に委ねて神に創造してもらうのがゴルフコースの最高傑作と考えていたのだ。

画像: 1897年のセントアンドリュース・オールドコース、ヘルバンカーの様子。打っている人物は1886年、87年の全英アマ優勝のイングランド人、ホーレス・ハッチンソン。

1897年のセントアンドリュース・オールドコース、ヘルバンカーの様子。打っている人物は1886年、87年の全英アマ優勝のイングランド人、ホーレス・ハッチンソン。

バンカーといわず、ラフといわず、グリーンもフェアウェイも、みな神の創り給うた傑作なのである。その天然自然のコースでひとがどんなプレーをするか。どう苦しみ、どう楽しむか。それがゴルフというスポーツの出発点だった。神が創った舞台で人間がプレーするから、どんな珍プレー好プレーも許し合うことができたのだろう。慰め合うことができたのたろう。コース全体をモニュメントにすることができたのだろう。

そんなわけで、オールドコースには数えきれないほどのエピソードがあり、それがひとつの記念碑となって生きている。面白い由来をもったバンカーがたくさんある。(後略) 【杉山通敬】

ウォルキンショウの墓、サザーランド、プリンシパルノーズどんな由来があるのか。
これまで、どんなプレーヤーがどんなゴルフをしてきたのか。
それだけで、それはもうゴルフの歴史そのもの。ぜひこの機会に、
オールドコース、全英オープン開催コースの一冊を手にしていただけたら幸いである。

画像: 神の創り給うたコース

チョイス選書『The Openを巡る物語 なぜ、オールドコースはスゴいのか。~全英オープン コース&ヒストリー~』 256ページ、四六判、1870円(税込)

チョイス選書『The Openを巡る物語』の詳しい内容は「チョイス道楽」にて→

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