神の創り給うたコース
セントアンドリュースでは、一夜明けると新しいバンカーが出来ているという。ダッファーが削り取ったディボット跡が強風によって、一夜のうちにバンカーと化すというのである。ホントかいな、と思うだろうが、いまあるバンカーの多くはそんなふうにして出来あがったものらしい。現在では、メンテナンスがゆきとどいているから、コース管理の人たちがディボット跡も目土などで修復してるので、新しいバンカーが突如あらわれることもない。
しかし、もし、いにしえのゴルファーが聞いたら、折角、天然の風が造ってくれたバンカーを人の手で修復するとは何事ぞ、と、その軽挙をそしるかもしれない。彼らは自然のままのリンクスこそがゴルフコースであり、天然の手に委ねて神に創造してもらうのがゴルフコースの最高傑作と考えていたのだ。
バンカーといわず、ラフといわず、グリーンもフェアウェイも、みな神の創り給うた傑作なのである。その天然自然のコースでひとがどんなプレーをするか。どう苦しみ、どう楽しむか。それがゴルフというスポーツの出発点だった。神が創った舞台で人間がプレーするから、どんな珍プレー好プレーも許し合うことができたのだろう。慰め合うことができたのたろう。コース全体をモニュメントにすることができたのだろう。
そんなわけで、オールドコースには数えきれないほどのエピソードがあり、それがひとつの記念碑となって生きている。面白い由来をもったバンカーがたくさんある。(後略) 【杉山通敬】
ウォルキンショウの墓、サザーランド、プリンシパルノーズどんな由来があるのか。
これまで、どんなプレーヤーがどんなゴルフをしてきたのか。
それだけで、それはもうゴルフの歴史そのもの。ぜひこの機会に、
オールドコース、全英オープン開催コースの一冊を手にしていただけたら幸いである。
チョイス選書『The Openを巡る物語 なぜ、オールドコースはスゴいのか。~全英オープン コース&ヒストリー~』 256ページ、四六判、1870円(税込)
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