まさに“ムービングサタデー”を象徴する全英オープン3日目。最終組ひとつ前のマキロイ・ホブラン組がともに-16まで伸ばし大躍進した。

前半は辛抱強く耐え続けた(マキロイ)

マキロイ、ホブランともに-10で迎えた3日目。両者1番、2番をパーオンするも、バーディパットが決まらずともにパー。先にスコアが動いたのはホブランだった。ピンまで405Yの3番パー4、ドライバーで301Yを打ち、残り112Yの2打目をピン奥につけ、約11mのロングパットを決めた。その後、480Yの4番も約13mのロングパットを決めて2つスコアを伸ばした。

そのときマキロイは「僕はチャンスを逃し、ビクトルが連続バーディを決めたけど、焦らず辛抱しようと思いながらプレーしていました」と振り返った。

続く5番570Yパー5。マキロイ、ホブランともに2オンに成功。ホブランは約16mのイーグルパットを外したが、きっちりバーディを決め、マキロイも約18mを寄せて今日初のバーディを獲得した。

6番426Yパー4も両者フェアウェイをキープ。ホブランはピンまで5.8mにつけ、マキロイはピンそば1.8mにつけて、ともにバーディ。ホブランは単独首位の-14、マキロイは9番でも1オンに成功しバーディ。-13までスコアを伸ばし、前半を折り返した。

画像: パー4で1オンの狙うホールが多いため、選手同士の会話が多いのも、今大会の特徴だ

パー4で1オンの狙うホールが多いため、選手同士の会話が多いのも、今大会の特徴だ

ふたりともスコアを伸ばしているが攻め方は対照的だった。マキロイはショットが冴え渡り、果敢にピンへ攻めていた。対するホブランはアプローチでパターで転がし寄せる、またロングパットを決めるなど、ショートゲームの巧みさが際立っていた。

運を味方につけるのも全英では大事(マキロイ)

ロングパットをガンガン沈めるホブラン。そのまま独走かと思いきや、10番360Yパー4で流れが変わった。ホブランはドライバーで狙い通りバンカーを超えてグリーン手前まで運んだが、マキロイは無情にもポットバンカーへ。しかし、ふわっと上がったバンカーショットがカップへ吸い込まれるようにイン。今日一番の盛り上がりを見せた。

「こういう運がついてこないと全英では勝てないことはわかってる。ただ、隣でDJとスコッティ(シェフラー)がティーショットを打とうしていたから、あの盛り上がりは戸惑っていたけどね(笑)」(マキロイ)

一方、ホブランは残り18Yをグリーン脇からアプローチし、ピン奥4mからのパットを入れてバーディ。ともにスコアを伸ばした。

「先にローリーがアメージングなバンカーショットを入れて。それを見て僕も!って思いながら集中してパッティングしました。集中していたのであの歓声はあまり気になりませんでしたね」(ホブラン)

その後、ほかの組がスコアを落とす終盤でもマキロイとホブランはパーをキープ。マキロイは14番613Yパー5では344Y、277Yとつないで2オンに成功し、単独首位に躍り出た。

最終組も一緒に回れるのはプラスになる(マキロイ・ホブラン)

アベレージ4.65の最難関ホール、17番508Yパー4では、ふたりとも左のラフに曲げて、セカンドはグリーン奥にオーバー。マキロイは壁際まで転がり、寄せて2パットのボギー。ホブランは砂利道からパターで転がし1.2mのパットを沈めてパーセーブ。被害を最小限に食い止めた。

画像: 17番、マキロイは2打目をグリーンオーバーして壁際に。幸いストロークはできてグリーンオン。

17番、マキロイは2打目をグリーンオーバーして壁際に。幸いストロークはできてグリーンオン。

画像: ホブランも17番は2打目をグリーンオーバー。砂利道からパターを選び、ピンそば1.2mにつけてパーセーブ

ホブランも17番は2打目をグリーンオーバー。砂利道からパターを選び、ピンそば1.2mにつけてパーセーブ

結局ふたりともスコアを大きく伸ばし、ともに-16。最終日も同じペアで回ることとなった。

「ビクトルとは2019年の全米オープンで一緒に練習ラウンドしたし、ライダーカップで仲良くなったんだ。だから明日も一緒に回れるのは嬉しいね」(マキロイ)

「今日も前の組を待っている間にいろんなことを話したし、ローリーと回れるのは光栄なこと。明日も楽しみ」(ホブラン)

両者の波長が合って、いいリズムで回れたのも3日目の大躍進の原動力になったことは間違いなさそうだ。思い出されるのはロイヤルトゥルーンで行われた2016年の全英オープン。ミケルソンとステンソンの死闘のように、今年の最終日も熱い戦いが繰り広げられそうだ。

キレキレのショットが武器のマキロイと、転がしのアプローチとパットでそれに対抗するホブラン。2人の攻め方は異なるが、ともに共通しているのはリンクスのコース環境を熟知しているということ。マキロイのバンカーショットのように、強烈なポットバンカーでも萎縮することなく果敢にピンを狙ったり、打てるブッシュ打てないブッシュを正確に見分ける能力などには、他とは違うリンクスでの経験値の高さを感じる。マキロイ、ホブランの攻防戦はどんな結末を見るのか、最終日も2人のプレーから目が離せない。

Photo/姉崎 正

画像: my-golfdigest.jp
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