第150回全英オープンが開幕し、初日に単独トップに立ったキャメロン・ヤング。300㍎を超えるスウィングを青木翔コーチに解説してもらった。

落下する力を最大限に利用するトップ

キャメロン・ヤングのスウィングをしっかりと見るのは初めてなのですが、写真を見るだけでも明らかに飛びそうなスウィングをしていますね。

いちばん注目してほしいのは、トップで手元の位置が頭よりも遥かに上にくる「ハイトップ」です。最近の選手のなかでは珍しいトップの形ですが、“飛ばし”という点においてはメリットがあります。
ハイトップのメリットとしては、重力を使えることが大きいです。高いところからクラブを下ろすわけですから、単純にヘッドが落下する力を多く使えて、ヘッドスピードを上げられます。

それに加えてキャメロン・ヤングは、切り返しからダウンスウィングにかけて、左足を強く踏み込み、地面からの反発の力を上手く利用しています。「重力」と「地面反力」の2つを存分に使ってヘッドをより加速させて飛ばしているということです。

画像: 手元の位置が頭のはるか上に来る「ハイトップ」。ヘッドが落下する力を生かしてヘッドスピードを上げる

手元の位置が頭のはるか上に来る「ハイトップ」。ヘッドが落下する力を生かしてヘッドスピードを上げる

アッパー軌道を作る2つの動き

しかし、ハイトップにはヘッドが鋭角に入りすぎてしまうというデメリットがあります。クラブが上から入りすぎると、スピン量が多くなり飛距離も落ちてしまうのですが、キャメロン・ヤングは切り返しからの2つの動きを取り入れることで上から入りすぎることを防いでいます。

1つ目は、切り返しから右わきを縮めるように上半身を右側に倒す動き。いわゆる“サイドベンド”の動きを多く入れることで、右肩が下がり、ハイトップでもアッパー軌道を作り出しています。

そして2つ目が、トップで上半身を一度止める動き。トップを作ったと当時に下半身は左へシフトし始めているのですが、上半身は動かずピタッと止まっています。すると、切り返しからダウンスウィングに入ったときでも、上半身はまだ右を向いた状態になりクラブを下ろすスペース(懐)が広くできます。そこにクラブを下ろしてくることができるので、インサイドから低く入ってくるというわけです。この2つの動きがあるからこそ、ハイトップでもクラブが上から入りすぎることなく、飛ばすことができているのです。

画像: 切り返しからサイドベンドの動きを強く入れることでアッパー軌道を作る

切り返しからサイドベンドの動きを強く入れることでアッパー軌道を作る

コントロール性がやや不安!?

飛距離については申し分ないスウィングですが、コントロール性には少し問題もあります。フォローで左足がめくれすぎていることが若干気になる部分ではあります。多少のめくれはいいのですが、かなりめくれていますよね。ここまでめくれると、体の軸がブレる可能性があり、スウィングのタイミングがズレたときに、球をコントロールできなくなる可能性があります。その不安点さえ克服できれば、初日の流れをそのままに優勝まであるのではないかと思っています。

画像: 左足がめくれすぎると、軸もブレやすいためコントロールがしにくくなる

左足がめくれすぎると、軸もブレやすいためコントロールがしにくくなる

画像: my-golfdigest.jp
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