グリーン周りのアプローチと言えばウェッジが主役のイメージがあるが、プロでも選択肢のひとつとして入ってくるのがパター。パターでのアプローチは「リスクを減らすために非常に有効です」と兼濱は言う。
「ここでいうリスクとは、ウェッジで打ってピンに寄らないリスクではなくて、大叩きしてしまうリスクですね。たとえばトップしてグリーンをオーバーしてしまったり、ダフってチョロしてしまったりといったミスです。グリーンオンできずに打数が増えてしまう事態を避けるうえでパターも選択肢のひとつに加えておきたいところです」(兼濱、以下同)
とはいえ、パターでのアプローチには向き・不向きもある。いったいどういう状況ではパターを使えるのだろうか。
「まず一番いいのはグリーンのカラーからのアプローチですね。ボールと芝生・土との接地面積が広いぶんウェッジだとヘッドの入れどころが難しく、パターのほうが圧倒的にリスクが少ないです。カラーに止まった際は第一候補ですね」
フェアウェイであっても「だいたい20ヤード以内であればパターがオススメです」と兼濱は続ける。
「もちろん打てるのであればどこからでもパターで打っていいです。タイガー・ウッズだって過去に全英オープンで40ヤード近いアプローチをパターで打っていますしね。ただパターはヘッドスピードを上げるのが難しいですし、極端に長い距離を打つのに慣れていない番手でもありますから、20ヤード以内を目安にしましょう。フェアウェイならある程度転がり方も想像しやすいので、気を付けたいのは距離感ですね。芝の抵抗がより強いフェアウェイの部分を通過するためにはどの程度強く打つ必要があるか、それを通過してからグリーン上でどの程度の勢いで転がってくれるかをイメージしながら素振りをして、打ちましょう」
また、砲台グリーンでもパターがオススメだと兼濱。「ウェッジでもショートして乗らないリスクはありますし、トップすればオーバーもあります。パターなら斜面を駆け上がって乗ってしまえばオッケーですし、そういった場合の次打って長い距離のパットが残りがちですから、似たような強さ・イメージで打てて流れもいいですよ」という。
では続いて、パターでのアプローチが非推奨な場面についても教えてもらおう。
「ずばりラフが絡む場合ですね。ラフがボールの通り道にあると不確定要素が多くて転がりがイメージしづらいですし、とくにラフが長いとそもそも転がせません。なのでそういった状況ではパターでのアプローチは避けたほうがいいでしょう」
逆に言えばラフが絡まずある程度グリーンに近ければ、パターを使うのはリスクを避けるために非常に有効な手段。しかも「グリーン上のパットと構え方なども基本的には変えなくていいです」という。
「単純にストロークの振り幅を大きくすればオッケーです。パターって手元を固定するイメージがあるかと思いますが、振り幅が大きくなってくると自然と手首は返ってくるものなので、無理に固める必要はありませんよ。普段のパットの構えで振りづらい方は、スタンスの幅を少し広くしたり、ウェッジでアプローチする際と同じように少しオープンスタンスで構えで打ってみてもいいと思います。ロングパットのイメージも養いやすいですし、ぜひ試してみてください」
協力/広尾ゴルフインパクト